講演情報
[U11-P12]琉球列島のサンゴ年輪解析から復元する20世紀の黒潮特性と変動
*大上 悠太1、浅海 竜司1、高柳 栄子1,2、杉本 周作1,2、成瀬 貫3、阿部 理4、新城 竜一5、Ke Lin6、Xianfeng Wang6、井龍 康文2 (1.東北大学大学院理学研究科、2.東北大学変動海洋エコシステム高等研究所、3.琉球大学出張熱帯生物圏研究センター、4.名古屋大学大学院環境学研究科、5.琉球大学理学部物質地球科学科、6.南洋理工大学)
キーワード:
サンゴ、酸素同位体比、水温、塩分、黒潮、太平洋数十年変動
黒潮流域は,世界平均の2倍に達する急激な水温上昇や,温暖化に伴う水循環の変化による塩分の低下の可能性が指摘されるなど,温暖化監視の最重要海域である(Wu et al., 2012. Nature Clim. Chang.; IPCC AR6, 2021).黒潮本流域にあたる琉球列島周辺の海洋変動は,台風の発達や太平洋数十年規模変動(Pacific Decadal Oscillation: PDO)等のグローバルな気候現象とも関係が深い(Andres et al., 2009. Geophys. Res. Lett.; 2011. J. Geophys. Res.).近年では,黒潮の大蛇行が豪雨や猛暑といった異常気象を引き起こすことが明らかになるなど(Sugimoto et al., 2025. J. Oceanogr.),その特性や短期的な変動については知見が蓄積されてきている.しかし,黒潮の長期的な変動メカニズムはよくわかっていない.これは,海洋の良質な連続観測データは1950年以降に限られ,温暖化やPDOなどの長時間スケールの変動を有意に捉えることが困難なことが一因にある.
観測以前の環境記録は間接指標によって復元されてきた.海洋記録を復元する有用な間接指標の一つとして造礁サンゴが挙げられる.造礁サンゴはアラゴナイトからなる骨格を持ち,骨格形成時に周囲の環境情報を記録している.また,骨格の成長速度が大きく,長寿であるため,長期の高解像度環境記録を復元することができ,骨格年輪によって年代決定も比較的容易である.サンゴ骨格の酸素同位体比は海水の温度と海水の酸素同位体比を,Sr/Ca比は海水の温度を強く反映し,生息海域の水温・塩分の変化の復元するうえで有用である.こうしたサンゴ年輪の長期データは南太平洋,大西洋,インド洋を中心に報告されているが,サンゴ礁の北限に当たる黒潮流域でのデータは少ない.
そこで本研究では,琉球列島黒潮本流域にあたる沖縄県久米島のサンゴ骨格の酸素同位体比,Sr/Ca比を分析し,1900年~2023年の124年間における水温と塩分の月別時系列データを構築した.時系列解析から,久米島の水温・塩分の変動と黒潮流量の変動,長周期の気候変動との関係を検証した.その結果,酸素同位体比とSr/Ca比には長期的な減少トレンドがみられ,20世紀において海水温は約1.4℃の上昇傾向を示し,塩分には増減トレンドがみられなかった.また,PDOの正と負のフェーズで水温・塩分と黒潮流量との関係が季節別で変化することが明らかになった.
観測以前の環境記録は間接指標によって復元されてきた.海洋記録を復元する有用な間接指標の一つとして造礁サンゴが挙げられる.造礁サンゴはアラゴナイトからなる骨格を持ち,骨格形成時に周囲の環境情報を記録している.また,骨格の成長速度が大きく,長寿であるため,長期の高解像度環境記録を復元することができ,骨格年輪によって年代決定も比較的容易である.サンゴ骨格の酸素同位体比は海水の温度と海水の酸素同位体比を,Sr/Ca比は海水の温度を強く反映し,生息海域の水温・塩分の変化の復元するうえで有用である.こうしたサンゴ年輪の長期データは南太平洋,大西洋,インド洋を中心に報告されているが,サンゴ礁の北限に当たる黒潮流域でのデータは少ない.
そこで本研究では,琉球列島黒潮本流域にあたる沖縄県久米島のサンゴ骨格の酸素同位体比,Sr/Ca比を分析し,1900年~2023年の124年間における水温と塩分の月別時系列データを構築した.時系列解析から,久米島の水温・塩分の変動と黒潮流量の変動,長周期の気候変動との関係を検証した.その結果,酸素同位体比とSr/Ca比には長期的な減少トレンドがみられ,20世紀において海水温は約1.4℃の上昇傾向を示し,塩分には増減トレンドがみられなかった.また,PDOの正と負のフェーズで水温・塩分と黒潮流量との関係が季節別で変化することが明らかになった.
