講演情報
[U15-P05]自治体防災のための地震動シミュレーション情報の利活用:精度検証とWebアプリ化
*伊藤 渚生1、伊藤 慎兵1、川尻 貴之2、大谷 英之3、関本 義秀4 (1.株式会社日建設計総合研究所、2.株式会社MIERUNE、3.国立研究開発法人海洋研究開発機構、4.東京大学空間情報科学研究センター)
キーワード:
統合地震シミュレータ、Webアプリケーション、自治体防災、精度検証、道路閉塞
これまで内閣府防災等による地震被害予測は、主にメッシュ(面)ごとの被害関数を用いた巨視的な分析が主流であった。しかし、実効性のある防災対策を推進するためには、個別の建物被害や道路状況を特定する必要があり、従来のエリア単位の分析では、自治体が重点的に守るべき拠点の把握や具体的な避難経路の策定において課題が残されていた。 そこで本研究では、東京大学地震研究所が開発した「統合地震シミュレータ(Integrated Earthquake Simulator:以下、IES)」および、国土交通省の3D都市モデル「PLATEAU」を活用し、自治体職員等がWeb上で簡易に高精度の被害シミュレーションを行えるシステムを開発した。さらに、本システムの実務における有用性を検証するため、精度検証および自治体へのヒアリングを実施した。
まず、シミュレータの信頼性を担保するため、2016年熊本地震において甚大な被害を受けた益城町を対象に精度検証を行った。具体的には、実際に発生した建物被害データとIESによるシミュレーション結果を照合するとともに、従来手法である内閣府の震度別被害関数による推計値とも比較を行った。その結果、本システムは内閣府の手法と同等以上の精度を確保できていることを確認した。特筆すべき点として、従来のメッシュ単位の分析では困難であった「建物一棟単位」の挙動解析が可能となったことで、倒壊家屋による「個別の道路閉塞」のリスク評価が可能となった点が挙げられる。
開発したシステムを用いて自治体職員を対象とした実証実験およびヒアリングを行ったところ、特に道路閉塞の予測機能について、「発災直後の避難所への備蓄品輸送ルートの策定に有用である」との肯定的な評価を得た。一方で、IESの精緻なシミュレーションには詳細な建物属性データ(建築年、構造、階数等)が不可欠であり、これらのデータが欠損している地域では解析が困難となる課題も浮き彫りとなった。今後は、建物情報が不十分な場合においても、統計的な補完や類似データからの推計を用いることで、確からしいシミュレーション結果を導出する手法の検討を進め、社会実装に向けた汎用性を高めていく予定である。
まず、シミュレータの信頼性を担保するため、2016年熊本地震において甚大な被害を受けた益城町を対象に精度検証を行った。具体的には、実際に発生した建物被害データとIESによるシミュレーション結果を照合するとともに、従来手法である内閣府の震度別被害関数による推計値とも比較を行った。その結果、本システムは内閣府の手法と同等以上の精度を確保できていることを確認した。特筆すべき点として、従来のメッシュ単位の分析では困難であった「建物一棟単位」の挙動解析が可能となったことで、倒壊家屋による「個別の道路閉塞」のリスク評価が可能となった点が挙げられる。
開発したシステムを用いて自治体職員を対象とした実証実験およびヒアリングを行ったところ、特に道路閉塞の予測機能について、「発災直後の避難所への備蓄品輸送ルートの策定に有用である」との肯定的な評価を得た。一方で、IESの精緻なシミュレーションには詳細な建物属性データ(建築年、構造、階数等)が不可欠であり、これらのデータが欠損している地域では解析が困難となる課題も浮き彫りとなった。今後は、建物情報が不十分な場合においても、統計的な補完や類似データからの推計を用いることで、確からしいシミュレーション結果を導出する手法の検討を進め、社会実装に向けた汎用性を高めていく予定である。
