講演情報
[U16-P01]量子技術を用いた次世代地球重力観測衛星
*田中 愛幸1 (1.東京大学理学系研究科)
キーワード:
重力、測地、量子、光格子時計、気候変動
人工衛星を用いた地球観測の実現に不可欠なものの1つに、グローバル基準座標系がある。基準座標系は、地球上の物体や衛星の位置を表すのに用いる共通の基準であり、宇宙測地技術を用いて高精度に定められている。基準座標系を構築するには、地表の基準局や衛星の位置、地球自転の変動、地球重力場を絶えずモニターする必要がある。基準系構築の過程で得られる副産物としての固体地球、大気、海洋、超高層に関する観測量は、地球科学の様々な分野に恩恵をもたらしてきた。その中で、日本ではあまり馴染がないものの、近年、目覚ましい発展を遂げたものに衛星重力観測がある。2000年代初頭に運用の始まった米独を中心とするGRACE衛星は、地球表層質量の時空間分布の計測に基づく氷床、海洋、陸水、大気の観測に革命をもたらし、地球温暖化の理解に役立つ新たなデータの提供を可能にした。現在、同様の衛星システムをもう1組打ち上げることで、全球的な重力の観測の時間分解能をわずか数日にまで向上させる計画が欧米で進行中である。さらに次なるステージとして、原子干渉型加速度計を衛星に搭載することで、重力観測の精度を上げる計画もあり、事前のシミュレーション研究が活発化している。また、現在の国際単位の1秒の精度を2桁以上、上回る光格子時計を地球観測衛星に搭載し、一般相対論に基づいて時間の進む速さから地球重力の強弱を測定する手法も提案されている。本発表では、このような新たな量子技術の活用も含めた衛星重力観測の進展と、期待される地球科学応用について紹介する。
