講演情報
[U16-P03]被害カテゴリの細分化に着目した光学衛星画像と深層学習による東北地方太平洋沖地震時の建物被害分析
*陳岡 怜生1、野中 崇志1、朝香 智仁1 (1.日本大学)
キーワード:
深層学習、高解像度光学衛星画像、建物被害
日本では多くの自然災害が発生しており,特に大規模地震は人的・物的被害や経済被害など甚大な影響を与える.近年では,2011年 3月11日の東北地方太平洋沖地震において,東北地方をはじめとする広範囲で多くの建物が地震動や津波による被害を受けた.また今後は南海トラフ巨大地震や首都直下型地震などの発生が想定されている.このような災害発生直後には,救助活動や建物の応急対応,ならびに復旧活動を早急に行うために,迅速かつ正確な建物の被害状況の把握が必要となる.現在は主に現地調査による目視確認が行われているが,これは人手や時間を多く要するほか,余震による二次被害の危険性が懸念される.また災害発生前後の合成開口レーダを用いて変化を抽出する研究もされているが,同一軌道から撮影された複数時期のデータが必要となるなど,データ取得には一定の制約がある.それに対し本研究では,広範囲の地球表面の観測が可能な衛星リモートセンシングと,データから自動的に特徴を抽出し高速な画像処理を実現する深層学習を用いて,災害発生直後の建物被害の分類を行う.先行研究として,建物被害を「流失」,「被災あり」,「被災無し」の3つのカテゴリに分類する研究があるが,実災害時には建物の被害状況に応じて救助活動の優先順位や建物の応急対応が異なるため,より細かいカテゴリでの建物被害の把握が求められる.
本研究は,分類カテゴリの細分化と分類精度の関係について知見を得ることを目的とした.具体的には先行研究と同様の3つのカテゴリに加え,「流失」,「重度被災」,「軽度被災」,「被災無し」の4つのカテゴリで深層学習モデルResNet-34による分類を実施した.解析対象は東北地方太平洋沖地震後の宮城県石巻市とし,GeoEye-1衛星による高解像度光学衛星画像を用いた.教師データは復興支援調査アーカイブを参照し,各カテゴリ200個で取得した.精度評価には再現率と適合率を用い,検証データによる定量的な評価を行った.その結果,3つの分類カテゴリでは「被災あり」の再現率が,4つの分類カテゴリでは「重度被災」の再現率が低いことが確認されたほか,分類のカテゴリの細分化により「流失」の再現率6%,適合率10%の低下が見られた.また,4つの分類カテゴリにおいて一部の教師データを変更した分析を行ったところ,「流失」と「重度被災」の精度の間にトレードオフの関係が確認された.以上より,被害カテゴリの細分化は被災状況の詳細把握に一定の有効性が確認された一方で,より正確な分類結果を得るためには被災地の被災状況(被災建物の周辺環境)を考慮した教師データの設定が重要であることを明らかにした.
本研究は,分類カテゴリの細分化と分類精度の関係について知見を得ることを目的とした.具体的には先行研究と同様の3つのカテゴリに加え,「流失」,「重度被災」,「軽度被災」,「被災無し」の4つのカテゴリで深層学習モデルResNet-34による分類を実施した.解析対象は東北地方太平洋沖地震後の宮城県石巻市とし,GeoEye-1衛星による高解像度光学衛星画像を用いた.教師データは復興支援調査アーカイブを参照し,各カテゴリ200個で取得した.精度評価には再現率と適合率を用い,検証データによる定量的な評価を行った.その結果,3つの分類カテゴリでは「被災あり」の再現率が,4つの分類カテゴリでは「重度被災」の再現率が低いことが確認されたほか,分類のカテゴリの細分化により「流失」の再現率6%,適合率10%の低下が見られた.また,4つの分類カテゴリにおいて一部の教師データを変更した分析を行ったところ,「流失」と「重度被災」の精度の間にトレードオフの関係が確認された.以上より,被害カテゴリの細分化は被災状況の詳細把握に一定の有効性が確認された一方で,より正確な分類結果を得るためには被災地の被災状況(被災建物の周辺環境)を考慮した教師データの設定が重要であることを明らかにした.
