講演情報

[U16-P09]Pythonを用いた衛星シミュレーター教育・研究ツールの整備

*金丸 佳矢1 (1.情報通信研究機構)

キーワード:

衛星シミュレーター、リモートセンシング

衛星観測は、地球の地表や大気の状態を広範囲に観測出来るほぼ唯一の手段であり、近年は多様な衛星搭載センサーの登場によって地球環境に関する様々かつ詳細な情報が得られるようになった。衛星搭載センサーは電磁波が主に用いられており、所望とする物理量ではなく観測対象と電磁波の相互作用によって生じた電磁波の強さを計測する。衛星観測データを使った利用研究を実施する場合、電磁波の強さから物理量への変換されたプロダクトを使うことが一般的だが、結果の解釈には観測対象に関する知識に加えて、放射や散乱に関する知識が必要となる場面に出くわすことがある。そのような場合、衛星シミュレーターの利用が有用である。衛星シミュレーターは衛星搭載センサーの測定量を数値気象モデルなどの入力値をもとに再現できるように放射や散乱に関する計算機能を整備したソフトウェア群を指し、日本では名古屋大学で開発するSatellite Data Simulator Unit (SDSU)やJAXAが開発するJoint-Simulator (J-SIM)などがある。これらの衛星シミュレーターは科学技術計算を目的として高い計算効率や精度を追求するため、FortranやC言語などで実装されることが多い。Pythonなどの最新のプログラミング言語と比べてFortranやC言語は可読性や開発効率の面で劣る場合があり、教育現場や研究の初期段階での利用においては障壁となりうる。そのため、近年はPythonを活用した衛星シミュレーターの開発や整備が進められている。Pythonは豊富な科学計算ライブラリや可視化ツールとの連携が容易で、教育・研究の現場での利用に適している。Pythonベースの衛星シミュレーターを整備することで、より多くの学生や研究者が衛星観測データを用いた研究に取り組みやすくなり、衛星観測データの理解や応用の促進が期待される。
本発表では、SDSUやJ-SIMの計算機能をPythonから利用可能にするインターフェースと簡単なチュートリアルを整備したので、その紹介をする。また、著者が所属する機関において行われているインターンシップ制度を活用した課題演習や参加学生からのフィードバックについても報告する。