講演情報

[U18-02]AI気象モデルによる熱帯低気圧予測の現状と将来展望★招待講演

*山口 宗彦1 (1.気象庁気象研究所)

キーワード:

気象、人工知能、熱帯低気圧、天気予報

熱帯低気圧は、世界で発生する最も激しい自然現象の一つであり、毎年のように甚大な災害を引き起こす。地球温暖化が進む中で、気象災害は激甚化しており、熱帯低気圧もより強力なものが影響を与える可能性がある。このような背景のもと、熱帯低気圧の予測精度を一層向上させることは、影響を受ける地域に暮らす人々の生命・財産を守るための極めて重要な課題である。

 近年、AI気象モデルによる天気予報技術の開発が驚異的なスピードで進展している。2022年後半には、従来の数値天気予報と同等、あるいはそれを上回る予測精度を有することを示す研究成果が報告された。数値天気予報が物理法則に基づいて現在の大気状態から将来の状態を計算するのに対し、AI気象モデルは機械学習を用い、過去の膨大な大気データを学習することで、現在の大気状態から将来の状態を推定するという特徴を持つ。

 熱帯低気圧予測においては、特にAI気象モデルによる進路予測精度の向上が注目されている。従来手法と比較して、進路予測誤差が数十%低減することを示す研究が複数報告されている。このような状況を受け、AI気象モデルを用いた熱帯低気圧予測の国際相互比較プロジェクトが立ち上げられるとともに、現業の熱帯低気圧予測へAI気象モデルを活用する動きも加速している。

 本発表では、AI気象モデルによる熱帯低気圧予測の現状と将来展望について、専門外の聴衆にも理解しやすい形で概説する。