講演情報
[1G07]持続可能な航空燃料:フィッシャー・トロプシュ合成パラフィン系灯油と従来の航空タービン燃料の特性評価
○樺島 文恵1、櫻井 昌文1、Nick Jones2、Christina Kelly2 (1. LECOジャパン合同会社、2. LECOコーポレーション)
キーワード:
SAF、Fischer-Tropsch Synthetic Paraffinic Kerosene、GCxGC-TOFMS
近年、航空業界および航空産業では、二酸化炭素の排出量の大幅な削減を目的とし、これまでの原油由来の従来の化石ベースの航空燃料から、再生可能で持続可能な原料の実用化がすすめられている。このSAF(Sustainable Aviation Fuel)市場は、EUのReFuelEU提案や米国のSAFグランド・チャレンジをはじめとする、大気への影響や温室効果ガスの排出を削減するために持続可能な航空燃料の使用を促進する規制により、今後10年間で大きく成長すると予想されている。既存の認定SAF処理経路の多くは、芳香族と硫黄の総含有量を削減または除去し、粒子状物質と硫黄酸化物の排出を削減している。しかし、ジェット燃料システムにおいて適切な凍結点、粘度、高分子密封特性を維持するためには、ある程度の芳香族分が必要であるため、新しい燃料の物理的特性、エネルギー含有量、排出プロファイルだけでなく、これらのバルク特性に影響を与える化学組成の個々の成分をバランスよく理解することが重要である。また、新しい燃料の使用が承認されるためには、ASTM D7566やASTM D1655のような規制要件を満たすための詳細なキャラクタリゼーションが不可欠であり、合成航空燃料の組成をより深く理解するための、簡便で網羅性の高い分析方法が求められている。本検討では、包括的な二次元ガスクロマトグラフィー(GCxGC)と飛行時間型質量分析計(TOFMS)および水素炎イオン化検出器 (FID) を組み合わせたGCxGC-TOFMSシステムを用いて、持続可能な航空燃料:フィッシャー・トロプシュ合成パラフィン系灯油と従来の航空タービン燃料の特性評価と組成比算出を試みたので報告する。