講演情報
[P-143]パッチテスト陽性金属除去が有効だった掌蹠膿疱症性骨関節炎の1症例
*細木 真紀1、小池 一幸1、田島 登誉子1、宮城 麻友1、松香 芳三1 (1. 徳島大学大学院 医歯薬学研究部 顎機能咬合再建学分野)
【緒言】
掌蹠膿疱症性骨関節炎(Pustulotic Arthro-Osteitis:以下PAO)は,掌蹠膿疱症(Palmoplantar Pustulosis:以下PPP)患者に発症する骨関節症状であり,病巣感染が主要なリスク因子とされている.金属除去は標準治療として確立されていないが,症例によって有効性が報告されている1).今回,パッチテスト陽性金属の増加とPAOへの進展が確認され,金属除去により症状が改善した症例を報告する.
【症例の概要・治療内容】
64歳女性.主訴は手掌・足底の水疱性病変.2018年に開業皮膚科でPPPと診断され,薬物療法で改善が乏しかったため,金属アレルギーの関与が疑われ,本院歯科用金属アレルギー部門に紹介された.パッチテストで陽性金属を認めたため,かかりつけ歯科に治療を依頼したが,患者は自己判断で転院し,転院先でインプラント埋入と歯周治療のみが実施された.
【経過ならびに考察】
皮膚科で薬物療法,歯科で歯周治療が継続されたが,2年後にPAOを発症.総合病院リウマチ科に紹介され,IL-23阻害剤の使用が提案されたものの,副作用や費用面で患者が難色を示したため,歯性感染症と金属アレルギーの精査を目的に再度本院に紹介された.再パッチテストでは陽性金属が増加しており,歯性感染症は認めず,インプラント部以外の補綴物に陽性金属が含まれていたため,金属除去を開始した.除去開始直後より膿疱や胸骨の疼痛が改善し,除去終了後には症状が消失した(図).
本症例は,PPPと診断され治療を受けながらもPAOを発症し,その間にパッチテスト陽性金属の増加が確認された.口腔内の金属がPAO進展の一因である可能性が示唆され,金属除去の有効性が確認されたことから,PAOの治療選択肢としての有用性が考えられる.さらなる症例の蓄積と研究が求められる.なお,発表について患者の同意を得ている.
【参考文献】
1) McGonagle, D., Tan, A.L., Wata A. et al. Pathophysiology, assessment and treatment of psoriatic dactylitis. Nat Rev Rheumatol 2019;15:113–22.
掌蹠膿疱症性骨関節炎(Pustulotic Arthro-Osteitis:以下PAO)は,掌蹠膿疱症(Palmoplantar Pustulosis:以下PPP)患者に発症する骨関節症状であり,病巣感染が主要なリスク因子とされている.金属除去は標準治療として確立されていないが,症例によって有効性が報告されている1).今回,パッチテスト陽性金属の増加とPAOへの進展が確認され,金属除去により症状が改善した症例を報告する.
【症例の概要・治療内容】
64歳女性.主訴は手掌・足底の水疱性病変.2018年に開業皮膚科でPPPと診断され,薬物療法で改善が乏しかったため,金属アレルギーの関与が疑われ,本院歯科用金属アレルギー部門に紹介された.パッチテストで陽性金属を認めたため,かかりつけ歯科に治療を依頼したが,患者は自己判断で転院し,転院先でインプラント埋入と歯周治療のみが実施された.
【経過ならびに考察】
皮膚科で薬物療法,歯科で歯周治療が継続されたが,2年後にPAOを発症.総合病院リウマチ科に紹介され,IL-23阻害剤の使用が提案されたものの,副作用や費用面で患者が難色を示したため,歯性感染症と金属アレルギーの精査を目的に再度本院に紹介された.再パッチテストでは陽性金属が増加しており,歯性感染症は認めず,インプラント部以外の補綴物に陽性金属が含まれていたため,金属除去を開始した.除去開始直後より膿疱や胸骨の疼痛が改善し,除去終了後には症状が消失した(図).
本症例は,PPPと診断され治療を受けながらもPAOを発症し,その間にパッチテスト陽性金属の増加が確認された.口腔内の金属がPAO進展の一因である可能性が示唆され,金属除去の有効性が確認されたことから,PAOの治療選択肢としての有用性が考えられる.さらなる症例の蓄積と研究が求められる.なお,発表について患者の同意を得ている.
【参考文献】
1) McGonagle, D., Tan, A.L., Wata A. et al. Pathophysiology, assessment and treatment of psoriatic dactylitis. Nat Rev Rheumatol 2019;15:113–22.