講演情報
[P-45]間接法による支台築造において材料とフェルールの高さがコアの生存率に及ぼす影響
*山下 小依花1、古玉 明日香1、野川 敏史1、高山 芳幸1、坂口 究1 (1. 北海道大学 大学院歯学研究院 口腔機能学分野 口腔機能補綴学教室)
【目的】
日本補綴歯科学会のガイドラインでは,歯根破折の防止の観点からファイバーポストを用いたレジンコア(FC)の選択を推奨している.しかし,FCとメタルコア(MC)の生存率は差がないとの報告1)も認められる.一方,支台築造の生存率にはフェルールの有無が影響するが,FCとMCそれぞれの適切なフェルールの高さについては不明である1).
本研究の目的は,間接法によるFCとMCの生存率の差異およびフェルールの高さのカットオフ値を明らかにすることである.
【方法】
被験者は,北海道大学病院義歯科において間接法でコアを製作した患者(2018年4月1日から2019年12月31日)のうち,参加に拒否しない者を選択した.作業用模型からフェルールの高さが評価できない症例,コア装着後3年以内に受診が途絶えた者は除外した.
調査項目は,性別,年齢,支台築造方法,フェルールの高さの最大値と最小値(Fmax, Fmin),トラブル(抜歯,脱離,ポストコアの破折または除去)の有無と発生時期とした.
コア生存のエンドポイントは,コアの再製作または支台歯の抜歯とした.FCとMCの生存率は,Kaplan-Meier法を用いて生存曲線を作成し,Log-Rank検定により検討した.さらに,フェルールの高さのカットオフ値は,FmaxとFminから観察期間3年の生存を予測するROC曲線を作成して検討した.
【結果と考察】
被験者は184名(男性59名,女性125名)で,支台築造242例のうち,除外基準に該当した98例を除く144例(FC122例, MC22例)を解析対象とした.
3年生存率はFCが92.6%,MCが86.3%と有意差はなく(p=0.32),両者の予後は同等であると推測された.3年経過後の生存に対するフェルールの高さのカットオフ値については,ROC曲線下面積が小さく予測能は高くなかったため,コアの生存期間にはフェルールの高さ以外の要因の関連が示唆された.
今後は多変量解析により他の要因の影響を分析する予定である.
【参考文献】
1) Martins MD, Junqueira RB, de Carvalho RF, et al. Is a fiber post better than a metal post for the restoration of endodontically treated teeth? A systematic review and meta-analysis. J Dent 2021; 112:103750.
日本補綴歯科学会のガイドラインでは,歯根破折の防止の観点からファイバーポストを用いたレジンコア(FC)の選択を推奨している.しかし,FCとメタルコア(MC)の生存率は差がないとの報告1)も認められる.一方,支台築造の生存率にはフェルールの有無が影響するが,FCとMCそれぞれの適切なフェルールの高さについては不明である1).
本研究の目的は,間接法によるFCとMCの生存率の差異およびフェルールの高さのカットオフ値を明らかにすることである.
【方法】
被験者は,北海道大学病院義歯科において間接法でコアを製作した患者(2018年4月1日から2019年12月31日)のうち,参加に拒否しない者を選択した.作業用模型からフェルールの高さが評価できない症例,コア装着後3年以内に受診が途絶えた者は除外した.
調査項目は,性別,年齢,支台築造方法,フェルールの高さの最大値と最小値(Fmax, Fmin),トラブル(抜歯,脱離,ポストコアの破折または除去)の有無と発生時期とした.
コア生存のエンドポイントは,コアの再製作または支台歯の抜歯とした.FCとMCの生存率は,Kaplan-Meier法を用いて生存曲線を作成し,Log-Rank検定により検討した.さらに,フェルールの高さのカットオフ値は,FmaxとFminから観察期間3年の生存を予測するROC曲線を作成して検討した.
【結果と考察】
被験者は184名(男性59名,女性125名)で,支台築造242例のうち,除外基準に該当した98例を除く144例(FC122例, MC22例)を解析対象とした.
3年生存率はFCが92.6%,MCが86.3%と有意差はなく(p=0.32),両者の予後は同等であると推測された.3年経過後の生存に対するフェルールの高さのカットオフ値については,ROC曲線下面積が小さく予測能は高くなかったため,コアの生存期間にはフェルールの高さ以外の要因の関連が示唆された.
今後は多変量解析により他の要因の影響を分析する予定である.
【参考文献】
1) Martins MD, Junqueira RB, de Carvalho RF, et al. Is a fiber post better than a metal post for the restoration of endodontically treated teeth? A systematic review and meta-analysis. J Dent 2021; 112:103750.