討論主題と依頼講演
討論主題(主題講演)
本討論会では以下の6件の討論主題を設定します。各主題ごとに依頼講演を設けると同時に,一般の参加者からも主題に関わる講演を募集します。ぜひ、依頼講演者とともに発表・討論に加わっていただきたく存じます。講演申込の際には,講演分類の選択のところで,討論主題名をお選びください。(依頼講演者及び講演タイトルについては決定次第、随時追加していきます)
1. 生体膜と分析化学
オーガナイザー:松森 信明(九大)
(趣旨)
生体膜は、脂質・糖鎖・タンパク質などから構成される高度に組織化された分子集合体であり、情報伝達や物質輸送、化学反応の場として生命活動を根幹から支えている。古くから膜構造や機能に関する研究は精力的に進展してきたが、特に2000年代以降、脂質ラフトやエクソソームなどの研究の興隆により生体膜研究は新たな展開を迎えている。本主題討論では、生体膜研究の最前線で用いられる先端的分析手法と最新成果を共有し、今後の展望について討論する。
(依頼講演)
生体膜は、脂質・糖鎖・タンパク質などから構成される高度に組織化された分子集合体であり、情報伝達や物質輸送、化学反応の場として生命活動を根幹から支えている。古くから膜構造や機能に関する研究は精力的に進展してきたが、特に2000年代以降、脂質ラフトやエクソソームなどの研究の興隆により生体膜研究は新たな展開を迎えている。本主題討論では、生体膜研究の最前線で用いられる先端的分析手法と最新成果を共有し、今後の展望について討論する。
(依頼講演)
| 鈴木 健一 | 岐阜大学 | |
| 津川 裕司 | 東京農工大学 | |
| 角野 歩 | 京都大学 | |
| 川村 出 | 横浜国立大学 | |
| 木瀬 孔明 | 東京大学 |
2. 医療・健康に貢献する薬系分析の役割と展望
オーガナイザー:岸川 直哉(長崎大)、浜瀬 健司(九大)
(趣旨)
創薬・製剤開発の推進や疾患の早期診断のためには、生体成分や医薬品の濃度変動の把握、代謝物や疾患関連分子の役割解明が不可欠です。その基盤となるのが「薬系分析」であり、前処理・検出・解析技術の革新が医療の進歩や健康の維持につながります。本シンポジウムでは、薬系分析の多様なアプローチが人々の健康にどのような価値をもたらすかを議論します。具体的には、疾患診断に向けた代謝物や呼気成分の網羅的解析、微量金属元素の機能を可視化する革新的プローブ設計、生薬の品質評価と安全性確保に貢献する電気化学的アプローチ、創薬に直結するターゲット/ノンターゲット融合型メタボロミクス、さらに抗体医薬品の高精度分析を可能にする前処理技術など、薬系分析の最前線を紹介します。
(依頼講演)
創薬・製剤開発の推進や疾患の早期診断のためには、生体成分や医薬品の濃度変動の把握、代謝物や疾患関連分子の役割解明が不可欠です。その基盤となるのが「薬系分析」であり、前処理・検出・解析技術の革新が医療の進歩や健康の維持につながります。本シンポジウムでは、薬系分析の多様なアプローチが人々の健康にどのような価値をもたらすかを議論します。具体的には、疾患診断に向けた代謝物や呼気成分の網羅的解析、微量金属元素の機能を可視化する革新的プローブ設計、生薬の品質評価と安全性確保に貢献する電気化学的アプローチ、創薬に直結するターゲット/ノンターゲット融合型メタボロミクス、さらに抗体医薬品の高精度分析を可能にする前処理技術など、薬系分析の最前線を紹介します。
(依頼講演)
| 李 仁愛 | 台北医学大学 | Metabolomic Comparison of Serum D-Lactate and D-Amino Acids in Colon Cancer Using High Performance Liquid Chromatography |
| Rossarin Tansawat | Chulalongkorn University | GC–MS Metabolomics for Cancer Biomarker Discovery from Exhaled Breath |
| 萩森 政頼 | 武庫川女子大学 | メタロミクス研究を加速する蛍光プローブの分子設計と応用の可能性 |
| 小谷 明 | 大阪医科薬科大学 | 生薬の適正使用に資する電気化学分析法の開発とその応用 |
| 高山 卓大 | 立命館大学 | ターゲット/ノンターゲット融合型メタボロミクス:低分子代謝物×創薬及び製薬開発への展開 |
| 高田 誠 | 福岡大学 | 抗体医薬品分析のための新たな前処理技術の開発 |
3.分析化学を通した溶液化学と熱測定の融合
オーガナイザー: 神崎 亮(鹿児島大)
(趣旨)
分析化学は、物質の構造・状態・相互作用を読み解くことで、分子を見て、操作する学問として発展してきました。その営みにおいて、溶液化学や、その理論的背景である熱力学、それを支える熱測定の技術を協調的に駆使することによって、複雑な分子現象の理解を深化させてきました。今日では、分析化学は「分析」にとどまらず、こうした分野横断的視点をもった物質科学の中心的役割を果たしています。このような観点から、本主題討論では、溶液化学と熱測定が交差する最前線の研究を取り上げます。これらの成果を共有し議論することで、溶液化学と熱測定の価値をあらためて見つめ直し、その融合により分析化学の新たな発展へと結びつけることを目指します。
(依頼講演)
| 松木 均 | 徳島大学 | 生体膜脂質の膜状態:温度・圧力・分子構造が誘起する多様性 |
| 高椋 利幸 | 佐賀大学 | 溶媒としてのイオン液体が寄与する金属イオンの錯形成平衡 |
| 野口 真理子 | 日本大学 | 複合熱分析手法を活かしたサーモトロピック液晶の多様な相の評価 |
| 永井 哲郎 | 岡山大学 | 不均一構造が生む局所物性の空間分布と物質輸送:マルチスケール分子シミュレーションによる解析 |
4.バイオ×分析化学:現象の可視化と社会実装の架け橋
オーガナイザー:末田慎二(九工大)、森 健(九大)
(趣旨)
近年、生体分子や細胞・組織・個体レベルでの生物試料を対象とした分析技術は、新規な分析試薬の開発やソフトウェア・ハードウェア技術の進展に伴い、様々な展開を見せている。このようなバイオ分析では現象を可視化することが基本戦略となっており、そこでは光を利用したイメージング技術等の開発が大きく寄与している。一方で昨今、研究成果を社会へ還元することが強く求められており、そのような社会実装を意識した研究が1つの大きな潮流となっている。とりわけバイオ分析に関しては医療分野への展開を目的とした研究開発が積極的に進められている。そこで、本主題では、「現象の可視化」と「社会実装」をキーワードとし、関連する分野でご活躍されている先生方に最新の研究をご紹介いただき、バイオ分析に関わる今後の研究展開や潮流について討論します。
(依頼講演)
| 佐藤 しのぶ | 九州工業大学 | 口腔癌の初期スクリーニング法としての電気化学的遺伝子検出法の開発 |
| 北村 裕介 | 熊本大学 | 血中に潜む微量な腫瘍細胞の分離分析に挑む医療機器開発 |
| 金 誠培 | 産業技術総合研究所 | 先進バイオアッセイのための生物発光イメージングシステムの展開 |
| 佐藤 守俊 | 東京大学 | 生命現象の光操作技術の創出 |
| 松本 桂彦 | 株式会社CUBICStars | 組織透明化技術を用いたマウス臓器の全細胞解析と応用 |
5.食品のおいしさと分析化学:おいしさの可視化を目指して
オーガナイザー: 石川洋哉(福女大)、安田みどり(西九大)
(趣旨)
近年、食品のおいしさを「可視化(見える化)」、すなわちおいしさを客観的指標により評価する試みが様々な分野で発展的になされています。分析機器の飛躍的な進歩により、これまで特定できなかった種々の食品成分が同定、定量されるようになっただけでなく、新たな分析・解析手法の開発により、これまでと違った角度から、おいしさに関わる成分の可視化、食品特性の解明が試みられています。さらに、データ解析手法の開発、AI技術の進展も目覚ましく、これまで謎であった食品の「おいしさの秘密」が次々に解き明かされつつあります。本主題では、食品のおいしさに関連して、特にユニークな研究を展開されている先生方に、最新の研究事例を紹介して頂き、分析化学が果たす役割について議論します。
(依頼講演)
| 辻井 良政 | 東京農業大学 | ご飯のおいしさに関わる米胚乳酵素活性プロファイルの可視化とケモメトリックス解析 |
| 永田 富治 | 株式会社レボーン | AI 嗅覚による官能評価予測とその分析化学的基盤 |
| 田中 充 | 九州大学 | LDI-MSを用いた風味成分の一斉デジタル化・可視化技術の構築とその応用 |
| 小川 剛伸 | 京都大学 | 食品の内部構造の可視化と食感のデザイン |
| 米山 明男 | 九州シンクロトロン光研究センター | 放射光イメージングと食品への応用 |
6.オンサイト分析で探る環境科学
オーガナイザー: 大平慎一(熊本大)(趣旨)
環境科学を展開する上で、従来のラボ分析では把握が困難な現象が増えています。オンサイト分析により、環境中の物質動態をリアルタイムかつ高頻度で捉えたり、容易に変化する化学形態やガス成分の濃度をありのままに捉えたりすることは、環境現象の因果関係の解明や反応メカニズムの特定に有効であると考えられます。加えて、汚染の早期検知・迅速対応の観点からもオンサイト分析には高いニーズがあります。本主題では、オンサイトでの検出やサンプリングの手法、データサイエンスを用いた解析に関する成果を紹介していただき、オンサイト分析がもたらす環境科学におけるパラダイムシフトの可能性について議論します。
(依頼講演)
