講演情報

[24p-1BL-2]キラリティ誘起スピン選択性(CISS)とスピントロニクス

〇山本 浩史1,2 (1.分子研、2.総研大)

キーワード:

スピントロニクス,キラリティ

キラル分子を用いた界面で発見されたCISS効果(Chirality-Induced Spin Selectivity)は、キラル分子を通過する電子のスピン偏極現象であり、新たなスピントロニクスの指導原理として興味深い。CISS効果で特徴的なのはスピン偏極の巨大さであり、原子の有する通常のスピン軌道相互作用ではとうてい説明しきれないスピン偏極率が観測されている。我々はCISS効果で見られる高スピン偏極率を固体デバイスに展開することによって、新たな高効率スピントロニクス素子の開発につながると考え研究を行ってきた。その結果、固体系であっても確かに、キラル系特有の高スピン偏極が金属あるいは超伝導状態で観測されることが明らかとなった。また、CISS効果ではスピン流―スピン蓄積変換が起きていることが示唆されており、その時間反転対称性との関連についても我々は考察を進めている。