講演情報
[R1-1]分子プロファイリングによるStage II大腸癌再発リスク因子の検討
笠井 俊輔1, 賀川 弘康1, 塩見 明生1, 眞部 祥一1, 山岡 雄祐1, 田中 佑典1, 井垣 尊弘1, 島野 瑠美1, 額田 卓1, 森 千浩1, 石黒 哲史1, 坂井 義博1, 髙嶋 祐助1, 谷田部 悠介1, 辻尾 元1, 横山 希生人1, 八尾 健太1, 畠山 慶一2, 山口 建3 (1.静岡県立静岡がんセンター大腸外科, 2.静岡県立静岡がんセンターゲノム解析研究部, 3.静岡県立静岡がんセンター)
【背景】本邦の大腸癌治療ガイドラインでは,再発高リスクStage II大腸癌に対して術後補助化学療法を行うことが弱く推奨されている.遺伝子発現に基づいたConsensus molecular subtype(CMS)分類を含む分子プロファイリングは大腸癌の予後や薬剤感受性を反映するものとして臨床応用が期待されているが,Stage IIを対象とした報告は少ない.
【目的】CMS分類を含む分子プロファイリングによりStage II大腸癌の再発リスク因子を検討し,術後補助化学療法の適応や薬剤選択について考察すること.
【対象と方法】当院では外科的切除標本の遺伝子発現解析とエクソーム解析を施行している.その中で,2014年1月から2018年12月にpStage II大腸癌に対して根治切除を施行した原発性大腸癌のうち,重複・多発癌,前・後治療症例を除外し,322例を対象とした.長期成績としてOverall survival rate(OS),Relapse-free survival rate(RFS)を評価し,RFSのリスク因子についてCox比例ハザード回帰分析を行った.
【結果】対象の年齢中央値69歳,性別は男/女:188/134例,占居部位は右側結腸/左側結腸/直腸:126/133/63例であった.術前CEA中央値3.4mg/mL,深達度はpT3/4a/4b:235/74/13例,静脈侵襲陽性175例(54.3%),リンパ管侵襲陽性120例(37.3%),神経侵襲陽性68例(21.1%)であった.遺伝子発現に基づいた分子プロファイリングの結果,CMS分類はCMS1/2/3/4/non-significant(NS):40/94/62/76/50例であった.対象全体の5年OS/RFSは98.0/90.7%であり,CMS分類ごとの5年RFSはCMS1/2/3/4/NS:97.4/92.4/90.0/83.8/93.6%であった.RFSのリスク因子について多変量解析を行った結果,神経侵襲あり(Hazard ratio[HR]4.228,p<0.001),TP53変異あり(HR 5.798,p=0.040),KRAS変異あり(HR 2.908,p=0.006),CMS4(HR 2.595,p=0.012)が独立したリスク因子として同定された.
【結語】Stage II大腸癌の再発リスク因子を評価できる分子プロファイリングは,術後補助化学療法の適応や薬剤選択に寄与する可能性がある.
【目的】CMS分類を含む分子プロファイリングによりStage II大腸癌の再発リスク因子を検討し,術後補助化学療法の適応や薬剤選択について考察すること.
【対象と方法】当院では外科的切除標本の遺伝子発現解析とエクソーム解析を施行している.その中で,2014年1月から2018年12月にpStage II大腸癌に対して根治切除を施行した原発性大腸癌のうち,重複・多発癌,前・後治療症例を除外し,322例を対象とした.長期成績としてOverall survival rate(OS),Relapse-free survival rate(RFS)を評価し,RFSのリスク因子についてCox比例ハザード回帰分析を行った.
【結果】対象の年齢中央値69歳,性別は男/女:188/134例,占居部位は右側結腸/左側結腸/直腸:126/133/63例であった.術前CEA中央値3.4mg/mL,深達度はpT3/4a/4b:235/74/13例,静脈侵襲陽性175例(54.3%),リンパ管侵襲陽性120例(37.3%),神経侵襲陽性68例(21.1%)であった.遺伝子発現に基づいた分子プロファイリングの結果,CMS分類はCMS1/2/3/4/non-significant(NS):40/94/62/76/50例であった.対象全体の5年OS/RFSは98.0/90.7%であり,CMS分類ごとの5年RFSはCMS1/2/3/4/NS:97.4/92.4/90.0/83.8/93.6%であった.RFSのリスク因子について多変量解析を行った結果,神経侵襲あり(Hazard ratio[HR]4.228,p<0.001),TP53変異あり(HR 5.798,p=0.040),KRAS変異あり(HR 2.908,p=0.006),CMS4(HR 2.595,p=0.012)が独立したリスク因子として同定された.
【結語】Stage II大腸癌の再発リスク因子を評価できる分子プロファイリングは,術後補助化学療法の適応や薬剤選択に寄与する可能性がある.