講演情報
[R1-3]当院におけるBRAF V600E変異陽性大腸癌の検討
大山 康博, 永井 俊太郎, 松岡 俊, 長尾 晋次郎, 新川 智彦, 櫻井 翼 (北九州市立医療センター外科)
【背景】
大腸癌において,BRAF V600E変異は予後不良因子とされている.BRAF遺伝子変異検査は2018年から保険適応となり,BRAF阻害剤としてエンコラフェニブが2020年から保険承認されているが,現在も薬物療法の効果が乏しく,治療に難渋する症例が多い.2018年以降の当院でのBRAF V600E変異陽性大腸癌について検討した.
【対象・方法】
BRAF遺伝子変異検査が保険承認された2018年から2022年までに当院でBRAF V600E変異陽性と診断された大腸癌で,MSI-Hを有するものを除いた9例について,治療成績を検討した.
【結果】
治療開始時の年齢は中央値で67歳(37~81歳)で,原発部位は右側が5例(55.6%),初診時ステージIVが4例(44.4%)だった.先行して原発巣切除を行った症例は8例(88.9%)で,そのうちR0切除が可能だったものは4例(50%),R1/R2となった因子は剥離面陽性2例,肝転移+腹膜播種1例,肺転移1例であった.R0切除を行った4例のうち2例(50%)で再発を認めた.非切除1例およびR1/R2切除4例,R0切除後再発2例のうち,一次治療としてdoubletレジメンを4例(57.1%),tripletレジメンを1例(14.3%)に導入し,術後薬物療法に至らず原病死した症例を2例(28.6%)認めた.全体での1年,2年,3年生存率はそれぞれ77.8%,64.8%,48.6%だった.生存期間中央値は27か月(2~64か月)で,R0切除の4例では30か月(12~64か月),R1/R2切除の4例では9か月(2~27か月),非切除の1例は28か月だった.経過中にBRAF阻害剤を5例(55.6%)に投与し,投与期間の中央値は15週(2~46週)だった.
【結語】
新規薬物療法の登場により,治療の選択肢は広がっているが,薬物療法に対する反応は乏しい症例が多い.予後の改善には,可能な限りR0手術を目指すことが重要だが,R1/R2切除となった症例では術後急速に腫瘍の増大を認める症例があり,初診時の手術適応の判断が重要である.
大腸癌において,BRAF V600E変異は予後不良因子とされている.BRAF遺伝子変異検査は2018年から保険適応となり,BRAF阻害剤としてエンコラフェニブが2020年から保険承認されているが,現在も薬物療法の効果が乏しく,治療に難渋する症例が多い.2018年以降の当院でのBRAF V600E変異陽性大腸癌について検討した.
【対象・方法】
BRAF遺伝子変異検査が保険承認された2018年から2022年までに当院でBRAF V600E変異陽性と診断された大腸癌で,MSI-Hを有するものを除いた9例について,治療成績を検討した.
【結果】
治療開始時の年齢は中央値で67歳(37~81歳)で,原発部位は右側が5例(55.6%),初診時ステージIVが4例(44.4%)だった.先行して原発巣切除を行った症例は8例(88.9%)で,そのうちR0切除が可能だったものは4例(50%),R1/R2となった因子は剥離面陽性2例,肝転移+腹膜播種1例,肺転移1例であった.R0切除を行った4例のうち2例(50%)で再発を認めた.非切除1例およびR1/R2切除4例,R0切除後再発2例のうち,一次治療としてdoubletレジメンを4例(57.1%),tripletレジメンを1例(14.3%)に導入し,術後薬物療法に至らず原病死した症例を2例(28.6%)認めた.全体での1年,2年,3年生存率はそれぞれ77.8%,64.8%,48.6%だった.生存期間中央値は27か月(2~64か月)で,R0切除の4例では30か月(12~64か月),R1/R2切除の4例では9か月(2~27か月),非切除の1例は28か月だった.経過中にBRAF阻害剤を5例(55.6%)に投与し,投与期間の中央値は15週(2~46週)だった.
【結語】
新規薬物療法の登場により,治療の選択肢は広がっているが,薬物療法に対する反応は乏しい症例が多い.予後の改善には,可能な限りR0手術を目指すことが重要だが,R1/R2切除となった症例では術後急速に腫瘍の増大を認める症例があり,初診時の手術適応の判断が重要である.