講演情報
[R1-4]大腸癌におけるがん遺伝子パネル検査にてactionable mutationを認めた3例の検討
東 雄大1, 嶋田 通明1, 松中 喬之1, 前川 展廣1, 田海 統之1, 澤井 利次1, 森川 充洋1, 小練 研司1, 玉木 雅人1, 村上 真1, 廣野 靖夫2, 五井 孝憲1 (1.福井大学第一外科, 2.福井大学医学部附属病院がん診療推進センター)
がん遺伝子パネル検査(CGP検査)は,2019年6月より保険適用となった.当院では,大腸癌では2020年2月より計17例を提出している.そのうち3例でactionable mutationを認めたため,報告する.
1例目は30代女性,直腸癌〈治療前診断:Rectal cancer,circ,type2,cT4aN2bM1b(H3,PUL2,P0)〉の症 例.2nd lineまで化学療法を施行したが,病勢悪化傾向であった.治療開始5か月後CGP検査の結果,actionable mutationを認めMEK阻害薬が提案された.治療開始6か月後に患者申出療養制度にてNCCH1901試験へ参加し治療予定であったが,状態悪化し治療開始7か月後に原病死された.
2例目は60代男性,腹腔鏡下直腸切断術施を施行した直腸癌〈術後診断:Rectal cancer,Rb-P,1/4circ,type2,cT3(A)N1bM1a(LYM)〉の症例.術後2か月よりCRT(S-1併用)施行,術後5か月より3rd lineまで化学療法を施行したが病勢悪化傾向であった.術後1年7か月にCGP検査提出し,actionable mutationを認め抗HER2-TKIが提案された.術後1年11か月よりTKI+Cape開始した.3course施行したが病勢悪化を認めた.その後も化学療法継続したが,術後2年11か月に原病死された.
3例目は60代女性,横行結腸癌〈治療前診断:Colon cancer,T,type4,sT4aN3M1c,sH2(gradeC),sP1,PUL1,sstageIVc〉の症例.4th lineまで化学療法を施行したが,病勢悪化傾向であった.治療開始1年後CGP検査提出し,actionable mutationを認めTRK阻害薬が提案された.この時点でPS3(黄疸,脱水,腹部膨満)であり,看取りの方針も言及したが強い希望があり,治療開始1年2か月後よりTRK阻害薬を開始した.投与2-3週間で肝転移縮小,腹水及び黄疸の改善認め,終末期ではあったが約3週間の在宅生活が可能であった.その後,急性腎不全,黄疸の悪化認め治療開始1年4か月後に原病死された.
以上,当院での大腸がんにおけるCGP検査にてactionable mutationを認め治療開始したものは2例,治療効果を認めたものは1例であった.自験例のような奏功する症例でも投与開始の時期によって十分な効果が得られないこともある.CGP検査施行の適切なタイミング・症例を選択するために,今後の症例集積が必要と考える.
1例目は30代女性,直腸癌〈治療前診断:Rectal cancer,circ,type2,cT4aN2bM1b(H3,PUL2,P0)〉の症 例.2nd lineまで化学療法を施行したが,病勢悪化傾向であった.治療開始5か月後CGP検査の結果,actionable mutationを認めMEK阻害薬が提案された.治療開始6か月後に患者申出療養制度にてNCCH1901試験へ参加し治療予定であったが,状態悪化し治療開始7か月後に原病死された.
2例目は60代男性,腹腔鏡下直腸切断術施を施行した直腸癌〈術後診断:Rectal cancer,Rb-P,1/4circ,type2,cT3(A)N1bM1a(LYM)〉の症例.術後2か月よりCRT(S-1併用)施行,術後5か月より3rd lineまで化学療法を施行したが病勢悪化傾向であった.術後1年7か月にCGP検査提出し,actionable mutationを認め抗HER2-TKIが提案された.術後1年11か月よりTKI+Cape開始した.3course施行したが病勢悪化を認めた.その後も化学療法継続したが,術後2年11か月に原病死された.
3例目は60代女性,横行結腸癌〈治療前診断:Colon cancer,T,type4,sT4aN3M1c,sH2(gradeC),sP1,PUL1,sstageIVc〉の症例.4th lineまで化学療法を施行したが,病勢悪化傾向であった.治療開始1年後CGP検査提出し,actionable mutationを認めTRK阻害薬が提案された.この時点でPS3(黄疸,脱水,腹部膨満)であり,看取りの方針も言及したが強い希望があり,治療開始1年2か月後よりTRK阻害薬を開始した.投与2-3週間で肝転移縮小,腹水及び黄疸の改善認め,終末期ではあったが約3週間の在宅生活が可能であった.その後,急性腎不全,黄疸の悪化認め治療開始1年4か月後に原病死された.
以上,当院での大腸がんにおけるCGP検査にてactionable mutationを認め治療開始したものは2例,治療効果を認めたものは1例であった.自験例のような奏功する症例でも投与開始の時期によって十分な効果が得られないこともある.CGP検査施行の適切なタイミング・症例を選択するために,今後の症例集積が必要と考える.