講演情報
[WS1-1]当院における20mm以上30mm以下の大腸腫瘍に対するunderwater EMRの治療成績
清水 良1,2, 鳥羽 崇仁1, 土方 一範1, 小野 真史1, 藤本 愛1, 松田 尚久1 (1.東邦大学医療センター大森病院, 2.関東労災病院消化器内科)
【目的】大腸腫瘍に対する内視鏡的治療法として,浸水下で粘膜下局注を行わずに切除を行うunderwater EMR(UEMR)が注目されているが,UEMRの至適病変やESDとの使い分けについては明らかになっていない.今回,当院におけるUEMRとESDによる治療成績を比較検討し,UEMRの有用性,安全性を明らかにすることを目的とした.
【方法】2022年1月から12月に,病変長径が20mm以上30mm以下の大腸腫瘍に対して当院でUEMRを施行した10例10病変と,ESDを施行した14例14病変の背景因子(性別,年齢,抗血栓薬内服の有無),臨床病理学的因子(病変部位,肉眼型,大きさ,組織型,脈管侵襲の有無,深達度)及び治療成績(完全切除(R0)率,一括切除率,治療時間,偶発症の有無)について比較検討した.
【結果】背景因子,臨床病理学的因子に両群に差はなく,術中・術後合併症も認められなかった.UEMR群,ESD群の治療時間の中央値はそれぞれ12分,72分であり,UEMR群で有意に短かった(p<0.01).完全切除(R0)率はUEMR群4/10例(40%),ESD群12/14例(85.7%)とUEMR群で有意に低く(p=0.03),一括切除率もUEMR群6/10例(60.0%),ESD群13/14例(92.9%)で統計学的に有意差はなかった(p=0.12)がUEMRで低い傾向であった.UEMRで一括切除ができなかった4病変の検討を行ったところ,3病変が近位結腸の平坦隆起性病変であった.
【結論】20mm以上30mm以下の大腸腫瘍に対するUEMRは安全に行うことができ,一括切除率はESDと比較してやや低かったものの,臨床的に許容される範囲であると考える.しかし,UEMRにおいて完全切除(R0)率は有意に低く,術前診断で悪性が疑われる病変では積極的なUEMRの適応とはなりにくいことが示唆された.UEMRはESDと比較し治療時間が短いため,ESDに難渋する事が予想される良性腫瘍はUEMRの良い適応になる可能性があるが,少数例での検討であり今後更なる検討が必要である.
【方法】2022年1月から12月に,病変長径が20mm以上30mm以下の大腸腫瘍に対して当院でUEMRを施行した10例10病変と,ESDを施行した14例14病変の背景因子(性別,年齢,抗血栓薬内服の有無),臨床病理学的因子(病変部位,肉眼型,大きさ,組織型,脈管侵襲の有無,深達度)及び治療成績(完全切除(R0)率,一括切除率,治療時間,偶発症の有無)について比較検討した.
【結果】背景因子,臨床病理学的因子に両群に差はなく,術中・術後合併症も認められなかった.UEMR群,ESD群の治療時間の中央値はそれぞれ12分,72分であり,UEMR群で有意に短かった(p<0.01).完全切除(R0)率はUEMR群4/10例(40%),ESD群12/14例(85.7%)とUEMR群で有意に低く(p=0.03),一括切除率もUEMR群6/10例(60.0%),ESD群13/14例(92.9%)で統計学的に有意差はなかった(p=0.12)がUEMRで低い傾向であった.UEMRで一括切除ができなかった4病変の検討を行ったところ,3病変が近位結腸の平坦隆起性病変であった.
【結論】20mm以上30mm以下の大腸腫瘍に対するUEMRは安全に行うことができ,一括切除率はESDと比較してやや低かったものの,臨床的に許容される範囲であると考える.しかし,UEMRにおいて完全切除(R0)率は有意に低く,術前診断で悪性が疑われる病変では積極的なUEMRの適応とはなりにくいことが示唆された.UEMRはESDと比較し治療時間が短いため,ESDに難渋する事が予想される良性腫瘍はUEMRの良い適応になる可能性があるが,少数例での検討であり今後更なる検討が必要である.