講演情報
[R1-2]がん遺伝子パネル検査を受検した大腸癌患者172例における遺伝子変異の検討
北嶋 貴仁1,2, 奥川 喜永1,2, 家城 英治2, 東 浩輝2, 水野 成2, 佐藤 友紀2, 山下 真司2, 市川 崇2, 長野 由佳2, 浦谷 亮2, 今岡 裕基2, 志村 匡信2, 川村 幹雄2, 松下 航平2, 安田 裕美2, 小池 勇樹2, 大北 喜基2, 吉山 繁幸2, 大井 正貴2, 問山 裕二2 (1.三重大学医学部附属病院ゲノム医療部, 2.三重大学医学部附属病院消化管・小児外科)
【背景】大腸癌治療においては特定の遺伝子変異を同定するコンパニオン診断が普及している.さらに,近年ではがん遺伝子パネル検査(CGP)を用いた個別化治療が進みつつある.今回,我々は切除不能進行・再発大腸癌における遺伝子変異と臨床病理学的特徴および予後について検討したので報告する.
【方法】2020年から2023年7月までにCGPを受検した988例のうち,切除不能進行・再発大腸癌患者172例を対象とした.病的変異を認めた上位10遺伝子と臨床病理学的特徴および予後について検討した.
【結果】大腸癌172例中,97の遺伝子に病的変異を認め,遺伝子増幅/再構成/欠失を39/19/9例に認めた.KRAS/NRAS遺伝子変異を93例,BRAF遺伝子変異を10例,ERBB2遺伝子増幅を7例,MSI-Hを6例,TMB-Highを11例に認めた.変異頻度の多い遺伝子としては,TP53遺伝子変異139例,APC遺伝子変異134例,PIK3CA遺伝子変異25例,FBXW7遺伝子変異19例,SMAD4遺伝子変異17例,SOX9遺伝子変異13例,FLT3遺伝子増幅11例であった.CGPの結果,治療候補を認めた症例は31例(18.0%)であった.臨床病理学的因子の検討では,TP53遺伝子変異陽性,APC遺伝子変異陽性は高・中分化型と(p<0.01,p<0.01),ERBB2遺伝子増幅は低分化型と有意な相関を認めた(p<0.01).FLT3遺伝子増幅は右側大腸と有意な相関を認めた(p=0.04).予後に関する検討では,遺伝子欠失あり群で予後不良な傾向を認めた(log-rank test,p=0.09).
【結論】大腸癌においてTP53遺伝子変異,APC遺伝子変異,ERBB2遺伝子増幅と分化型に有意な相関を認めた.遺伝子変異よって異なる臨床病理学的特徴を示したが,CGP検査を受検した症例に限定されることから,今後さらなる症例の集積を進め,検証していく必要がある.
【方法】2020年から2023年7月までにCGPを受検した988例のうち,切除不能進行・再発大腸癌患者172例を対象とした.病的変異を認めた上位10遺伝子と臨床病理学的特徴および予後について検討した.
【結果】大腸癌172例中,97の遺伝子に病的変異を認め,遺伝子増幅/再構成/欠失を39/19/9例に認めた.KRAS/NRAS遺伝子変異を93例,BRAF遺伝子変異を10例,ERBB2遺伝子増幅を7例,MSI-Hを6例,TMB-Highを11例に認めた.変異頻度の多い遺伝子としては,TP53遺伝子変異139例,APC遺伝子変異134例,PIK3CA遺伝子変異25例,FBXW7遺伝子変異19例,SMAD4遺伝子変異17例,SOX9遺伝子変異13例,FLT3遺伝子増幅11例であった.CGPの結果,治療候補を認めた症例は31例(18.0%)であった.臨床病理学的因子の検討では,TP53遺伝子変異陽性,APC遺伝子変異陽性は高・中分化型と(p<0.01,p<0.01),ERBB2遺伝子増幅は低分化型と有意な相関を認めた(p<0.01).FLT3遺伝子増幅は右側大腸と有意な相関を認めた(p=0.04).予後に関する検討では,遺伝子欠失あり群で予後不良な傾向を認めた(log-rank test,p=0.09).
【結論】大腸癌においてTP53遺伝子変異,APC遺伝子変異,ERBB2遺伝子増幅と分化型に有意な相関を認めた.遺伝子変異よって異なる臨床病理学的特徴を示したが,CGP検査を受検した症例に限定されることから,今後さらなる症例の集積を進め,検証していく必要がある.