講演情報
[PD6-4]進行下部直腸癌に対するNACの役割
高橋 吾郎, 山田 岳史, 上原 圭, 松田 明久, 進士 誠一, 横山 康行, 岩井 拓磨, 宮坂 俊光, 香中 伸太郎, 松井 孝典, 菊池 悠太, 林 光希, 吉田 寛 (日本医科大学消化器外科)
【背景】術前の画像検査にて側方リンパ節(lateral lymph node; LLN)転移陽性の場合は、側方郭清(LLND)を行うことが強く推奨されている。一方で、リアルワールドにおいてLNN転移陰性例に対するLLNDは、各施設ばらつきがある。本研究では、進行下部直腸癌に対する(neoadjuvant chemotherapy: NAC)の治療効果と側方リンパ節再発の関連性を検討した。
【対象と方法】対象は2012年7月から2023年7月までに、当科で根治手術を施行したcStageII-III下部直腸癌症例。NACおよびupfront surgery(upfront群)のLLN再発率を後方視的に検討した。当科は、治療的LNNDのみを行う方針としている。
【結果】対象は185例(NAC群82例,upfront群103例)。NACレジメンは、FOLFOX42例、CapeOX40例。観察期間中央値はNAC群4年1ヶ月、upfront群4年5ヶ月。患者背景はNAC群 vs. upfront群で、年齢:64歳 vs. 72歳、男性/女性:65/17 vs. 59/44であり、NAC群で有意に年齢が若く、男性が多かった(p<0.001、p=0.017)。cStage IIIの割合は 63%(52/82)vs. 54%(56/103)、術後合併症(Clavien-Dindo≧3)の頻度は17% vs. 14%と、2群間で差を認めなかった(p=0.23, p=0.68)。LLNDはNAC群で15例、upfront群で15例に施行されていた。LNN再発はNAC群、upfront群でそれぞれ7.3% vs 7.7%であり差を認めなかった(p=1.0)。サブグループ解析では、NACによるdown staging(DS+)が得られた症例のLLN再発率は0%であり、DS−症例13.3%、upfront群7.7%と比較して低い傾向を示した(p=0.057)。ycStageとypStageの一致率は57%(47/82)であり、過小評価がなされていた症例は14.6%(12/82)であった。
【考察】NACでDS+症例のLLN再発率はupfront surgeryと比較して良好であり、治療的LLNDの治療方針が妥当であること示唆された。一方で、DS−症例に対しては、予防的LLNDや放射線照射の必要性が示唆された。
【対象と方法】対象は2012年7月から2023年7月までに、当科で根治手術を施行したcStageII-III下部直腸癌症例。NACおよびupfront surgery(upfront群)のLLN再発率を後方視的に検討した。当科は、治療的LNNDのみを行う方針としている。
【結果】対象は185例(NAC群82例,upfront群103例)。NACレジメンは、FOLFOX42例、CapeOX40例。観察期間中央値はNAC群4年1ヶ月、upfront群4年5ヶ月。患者背景はNAC群 vs. upfront群で、年齢:64歳 vs. 72歳、男性/女性:65/17 vs. 59/44であり、NAC群で有意に年齢が若く、男性が多かった(p<0.001、p=0.017)。cStage IIIの割合は 63%(52/82)vs. 54%(56/103)、術後合併症(Clavien-Dindo≧3)の頻度は17% vs. 14%と、2群間で差を認めなかった(p=0.23, p=0.68)。LLNDはNAC群で15例、upfront群で15例に施行されていた。LNN再発はNAC群、upfront群でそれぞれ7.3% vs 7.7%であり差を認めなかった(p=1.0)。サブグループ解析では、NACによるdown staging(DS+)が得られた症例のLLN再発率は0%であり、DS−症例13.3%、upfront群7.7%と比較して低い傾向を示した(p=0.057)。ycStageとypStageの一致率は57%(47/82)であり、過小評価がなされていた症例は14.6%(12/82)であった。
【考察】NACでDS+症例のLLN再発率はupfront surgeryと比較して良好であり、治療的LLNDの治療方針が妥当であること示唆された。一方で、DS−症例に対しては、予防的LLNDや放射線照射の必要性が示唆された。