講演情報
[SY2-2]炎症性腸疾患におけるPR3-ANCAのバイオマーカーとしての有用性
石田 夏樹1, 髙橋 賢一1, 淺井 雄介1, 杉浦 喜一1, 松浦 友春2, 山出 美穂子1, 岩泉 守哉2, 濱屋 寧1, 山田 貴教3, 大澤 恵3, 杉本 健1 (1.浜松医科大学第一内科, 2.浜松医科大学検査部, 3.浜松医科大学医学部附属病院光学医療診療部)
【背景】炎症性腸疾患において抗好中球細胞質抗体 (PR3-ANCA)は潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の判別能があることやUCにおける臨床的活動性を反映することが報告されているが,内視鏡スコアや他のバイオマーカーと比較検討した報告はこれまでにない.
【目的】PR3-ANCAのバイオマーカーとしての有用性を内視鏡スコアおよびバイオマーカー(便中カルプロテクチン(FC),Leucine-rich alpha 2 glycoprotein(LRG))と比較検討することを目的とした.
【方法】2024年2月~2025年3月の間に当施設で下部消化管内視鏡検査およびバイオマーカー(FC,LRG,PR3-ANCA)が測定された163名のIBD患者(UC100名,CD63名)を対象とした.各マーカーでのUCとCDでの有意差検定および内視鏡スコア(UC:Mayo内視鏡サブスコア(MES),CD:simple endoscopic score for Crohn’s disease(SES-CD))との相関関係を評価した.各バイオマーカーのカットオフ値はFC 300mg/kg,LRG16µg/mL,PR3-ANCA 3.5 U/mLとした.
【結果】PR3-ANCAはUCにおいてMES(P<0.01)およびFC(P<0.01),LRG(P<0.01)とそれぞれ有意な相関関係を示したが,CDにおいてSES-CD,FC,LRGと有意な相関関係は示されなかった.PR3-ANCAの値は全症例の検討ではUCとCDの間に有意差は示されなかった(P=0.361).粘膜治癒(MES≤1/SES-CD≤2)のみではPR3-ANCAはUCの方がCDよりも有意に高値であり(P<0.05),非粘膜治癒(MES≥2/SES-CD≥3)のみでもPR3-ANCAはUCの方がCDよりも有意に高値であった(P<0.01).全症例のうちPR3-ANCA陽性の症例は40名であり,そのうちUC34名とCD6名でUCの割合は85.0%であった.PR3-ANCA陽性およびFCの陽性と陰性で4群に分けたところ,PR3-ANCA陽性かつFC陰性である群はUC10名とCD1名でUCの割合は90.9%と高値であった.同様にPR3-ANCAとLRGの陽性と陰性で4群に分けたところ,PR3-ANCA陽性かつLRG陰性である群はUC21名とCD3名でUCの割合は87.5%と高値であった.
【結論】PR3-ANCAはFCやLRGと組み合わせることでUCとCDを判別する可能性があり,またUCにおいては内視鏡スコアを反映しうることが示された.
【目的】PR3-ANCAのバイオマーカーとしての有用性を内視鏡スコアおよびバイオマーカー(便中カルプロテクチン(FC),Leucine-rich alpha 2 glycoprotein(LRG))と比較検討することを目的とした.
【方法】2024年2月~2025年3月の間に当施設で下部消化管内視鏡検査およびバイオマーカー(FC,LRG,PR3-ANCA)が測定された163名のIBD患者(UC100名,CD63名)を対象とした.各マーカーでのUCとCDでの有意差検定および内視鏡スコア(UC:Mayo内視鏡サブスコア(MES),CD:simple endoscopic score for Crohn’s disease(SES-CD))との相関関係を評価した.各バイオマーカーのカットオフ値はFC 300mg/kg,LRG16µg/mL,PR3-ANCA 3.5 U/mLとした.
【結果】PR3-ANCAはUCにおいてMES(P<0.01)およびFC(P<0.01),LRG(P<0.01)とそれぞれ有意な相関関係を示したが,CDにおいてSES-CD,FC,LRGと有意な相関関係は示されなかった.PR3-ANCAの値は全症例の検討ではUCとCDの間に有意差は示されなかった(P=0.361).粘膜治癒(MES≤1/SES-CD≤2)のみではPR3-ANCAはUCの方がCDよりも有意に高値であり(P<0.05),非粘膜治癒(MES≥2/SES-CD≥3)のみでもPR3-ANCAはUCの方がCDよりも有意に高値であった(P<0.01).全症例のうちPR3-ANCA陽性の症例は40名であり,そのうちUC34名とCD6名でUCの割合は85.0%であった.PR3-ANCA陽性およびFCの陽性と陰性で4群に分けたところ,PR3-ANCA陽性かつFC陰性である群はUC10名とCD1名でUCの割合は90.9%と高値であった.同様にPR3-ANCAとLRGの陽性と陰性で4群に分けたところ,PR3-ANCA陽性かつLRG陰性である群はUC21名とCD3名でUCの割合は87.5%と高値であった.
【結論】PR3-ANCAはFCやLRGと組み合わせることでUCとCDを判別する可能性があり,またUCにおいては内視鏡スコアを反映しうることが示された.