講演情報

[OS-02-01]全国版d4PDFダウンスケーリングデータを用いた日本の将来の水資源量解析と既往データセットとの比較

*田坂 彰英1、田中 賢治2、峠 嘉哉3、萬 和明2 (1. 京都大学大学院工学研究科、2. 京都大学防災研究所、3. 千葉大学環境リモートセンシング研究センター)
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キーワード:

水資源、気候変動予測、d4PDF、長期解析、日本

気候変動は水資源分野でも懸念されており,複数の先行研究が日本域を対象として将来気候下では水資源量が減少する地域・流域があることを示している.しかし,先行研究の課題として,いずれも当時の最新の気候予測データセットに基づく評価が行われており,デーセット間の水資源量評価結果の違いに言及している研究は少ない点が挙げられる.今後も新しいデータセットの公開や,水資源量評価手法の精緻化が進んでいくと考えられるが,わが国の水資源分野の気候変動適応策を策定するにあたっては研究間の相違点を明らかにすることも重要な課題である.そこで,本研究では,最新の気候予測データセットの全国版d4PDFダウンスケーリングデータ(d4PDF_5km)を用いた日本の将来の水資源賦存量の評価結果を示すとともに,その結果を既往データセットのd4PDF領域モデル実験(d4PDF_20km)ならびに全球150年連続実験データ(150年連続ラン)を用いた評価結果と比較する.水資源賦存量は気候予測データセットの気象条件を陸面過程モデルSiBUCに入力して年蒸発散量を計算し,それを年降水量から差し引くことで求め,気候変動の影響は過去実験と+4K上昇実験のアンサンブル平均値の差で評価する.d4PDF_5kmを用いた将来気候下の年水資源賦存量の評価では,道央をはじめとした北海道と近畿から九州地方太平洋側沿岸部,九州地方などで水資源量の増加がみられ,東北から山陰地方にかけての日本海側山間部では減少が見られた.この結果はd4PDF_20kmとは全国の80%の地域で増減の符号が一致しており,さらに山岳地形の表現が精緻化していることから,d4PDF_5kmの評価結果はd4PDF_20kmの評価を高解像度化したものだと言える.しかし,150年連続ランとは冬季の日本海側や梅雨期の西日本などの日本の特徴的な気象条件で予測傾向が異なっていた.その要因としては,例えば150年連続ランは1メンバのみの実験のため,d4PDFシリーズと比較して予測傾向に不確実性を伴う可能性などが考えられる.今後,水資源分野の気候変動適応策を策定してくためには,このような気候予測データセット間の水資源量評価結果の違いについても議論を深める余地がある.