講演情報
[OS-02-02]北東シベリア・コリマ川における永久凍土融解に伴う風化由来イオン(Ca2+, Mg2+, SO42-)の濃度上昇:長期傾向および熱波による極端な高濃度化
*田代 悠人1、檜山 哲哉2、金森 大成3、Lebedeva Lyudomila4、朴 昊澤、Makarieva Olga6、Nikitina Polina6、Fassnacht Steven7、Zemlianskova Anastasiia6、Zhunusova Oksana6、鈴木 和良5 (1. 秋田県立大学 生物資源科学部 、2. 名古屋大学 宇宙地球環境研究所、3. 神戸学院大学 経営学部、4. メリニコフ永久凍土研究所、5. 海洋研究開発機構 地球環境研究部門、6. サンクトペテルブルク大学、7. コロラド大学)
キーワード:
北極河川生物地球化学、気候変動、永久凍土融解、化学風化
温暖化による永久凍土融解は、北極河川の生物地球化学的プロセスに大きな変容を及ぼす。例えば、鉱物層の新たな露出によって、活動層内の化学的風化が進行する。実際、北米やシベリアの河川では、風化由来イオンであるカルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、硫酸イオン(SO42−)の濃度が長期的に上昇傾向にあることが報告されてきた。しかし、既存の河川水質モニタリングの多くは河口付近での観測に限定されているため、広大な流域内のどのエリアがホットスポットなのか、という空間的な知見は乏しい。そこで本研究では、1980年から2022年までのコリマ川の河川水質データに加え、気温、降水量、地温、活動層厚(ALT)などの水文気象データを統合的に解析した。上記イオン濃度の長期変動と流域内の水文気象データとの関連性を明らかにすることで、流域内の主要なホットスポットおよび熱波年における水質と陸域環境の特異的な応答について報告する。
コリマ川におけるCa²⁺, Mg²⁺, SO₄²⁻の年平均濃度は有意な上昇傾向を示し、2020年にピークに達した。また年平均気温は全域で上昇傾向にあるが、特に北側のコリマ低地で顕著であった。地温に関しても北側のコリマ低地で有意な上昇傾向が認められ、特に活動層深部(80cm深度)で顕著であった。これらの結果は、広大な流域内でも特にコリマ低地において、気温上昇に伴う永久凍土(Yedoma)の融解が進行していることを示唆する。実際、コリマ低地で観測された活動層厚も有意な深化傾向を示した。さらに、コリマ川におけるCa²⁺ + Mg²⁺濃度(化学的風化強度の指標)の長期変動は、コリマ低地における80 cm地温および活動層厚と有意な正の相関関係を示した。この結果は、コリマ低地のYedoma融解によって未風化の鉱物が新たに露出し、活動層深部での化学的風化が進んだことで、河川へのイオン流出が増大したことを示唆する。また各成分の年平均濃度がピークに達した2020年は、北東シベリアで冬から春にかけて記録的な熱波が発生していた。同年、コリマ低地では深さ80 cmにおける融解期平均地温が過去最高に達し、活動層厚も過去最大を記録した。これらの結果は、冬から春にかけての強烈な熱波が夏季の極端な地温上昇とYedoma融解を引き起こし、多量の風化由来イオン流出につながったことを示している。
コリマ川におけるCa²⁺, Mg²⁺, SO₄²⁻の年平均濃度は有意な上昇傾向を示し、2020年にピークに達した。また年平均気温は全域で上昇傾向にあるが、特に北側のコリマ低地で顕著であった。地温に関しても北側のコリマ低地で有意な上昇傾向が認められ、特に活動層深部(80cm深度)で顕著であった。これらの結果は、広大な流域内でも特にコリマ低地において、気温上昇に伴う永久凍土(Yedoma)の融解が進行していることを示唆する。実際、コリマ低地で観測された活動層厚も有意な深化傾向を示した。さらに、コリマ川におけるCa²⁺ + Mg²⁺濃度(化学的風化強度の指標)の長期変動は、コリマ低地における80 cm地温および活動層厚と有意な正の相関関係を示した。この結果は、コリマ低地のYedoma融解によって未風化の鉱物が新たに露出し、活動層深部での化学的風化が進んだことで、河川へのイオン流出が増大したことを示唆する。また各成分の年平均濃度がピークに達した2020年は、北東シベリアで冬から春にかけて記録的な熱波が発生していた。同年、コリマ低地では深さ80 cmにおける融解期平均地温が過去最高に達し、活動層厚も過去最大を記録した。これらの結果は、冬から春にかけての強烈な熱波が夏季の極端な地温上昇とYedoma融解を引き起こし、多量の風化由来イオン流出につながったことを示している。
