講演情報
[OS-08-02]梅雨前線および前線低気圧に伴う水蒸気同位体比の変動
*田上 雅浩1、一柳 錦平2、朴 昊澤3 (1. 気象庁気象研究所、2. 熊本大学大学院先端科学研究部(理学系)、3. 国立研究開発法人海洋研究開発機構)
キーワード:
水蒸気同位体比、全球雲システム解像モデル、ナッジングシミュレーション、梅雨前線、梅雨前線低気圧
2024年の梅雨シーズン中、日本の熊本で地表付近の水蒸気同位体の連続観測を行い、梅雨前線および前線低気圧に関連する同位体変動を調査した。ピカロ水同位体分析装置を用いた高頻度測定により、水蒸気δDが梅雨前線の南北移動と密接に対応していることが明らかになった。さらに、前線低気圧の通過中に、3回の急激な減少イベント(約1日以内に40~80‰)が観測され、それに伴ってd-excessが増加した。同位体質量収支分析により、これらの変動は雨滴蒸発時の同位体分別によって強く影響を受けていることが示唆された。これらのシグナルの再現性を検証するため、同位体対応の全球雲システム解像モデルNICAM-WISOを用いてナッジングシミュレーションを行った。このモデルは季節内変動を完全に再現することはできなかったものの、いくつかの急速な減少現象をうまくシミュレートできたことから、前線規模の降雨蒸発過程が地表付近の同位体変動に重要な役割を果たしており、今後のデータ同化研究に役立つ情報を提供する可能性があることが示唆された。
