講演情報
[OS-09-06]水温を指標とした流出過程可視化の可能性
*大西 健夫1、千家 正照2、原田 守啓3、平松 研1 (1. 岐阜大学応用生物科学部、2. 株式会社ユニオン、3. 岐阜大学環境社会共生体研究センター)
キーワード:
水温、トレーサー、針葉樹、広葉樹、地下水
本報告は、河川水温を流出過程の可視化指標として利用できる可能性を検討したものである。河川水温は河川生態系を支配する重要因子であり、大気との熱交換のみならず、山地流域においては地下水流出や地表流出など流出経路の違いを反映する。岐阜大学位山演習林のスギ・ヒノキ人工林流域と落葉広葉樹林流域を対象に、2011〜2018年の水温・水位・地温データを解析した結果、広葉樹流域では人工林流域より水温・地温の季節振幅が大きく、流況特性とあわせて基底流出成分の違いが示唆された。降雨イベント時には、とくに春季から夏季に河川水温が低下する傾向が見られたため、地温と地下水温をエンドメンバーとする簡易な完全混合モデルにより地表流出率を推定した。その結果、地表流出率はイベントごとに大きく変動し、人工林流域の方が高い値に偏る傾向が示された。平均地表流出率は人工林流域で57.6%、広葉樹流域で52.6%であり、既往のハイドログラフ分離結果とも比較的近い値であった。また、長良川支流16河川の解析からも、降雨時に水温が大きく低下または上昇する事例が確認され、水温が水文流出過程を反映する可能性が示された。今後、地温を気象データから精度よく推定できれば、水温は流出過程を可視化する有効なトレーサーとなり、EMMAなどの解析にも制約条件として活用できる可能性がある。
