講演情報
[PS-01-13]衛星観測流量を用いたバイアス補正と正規化水面標高同化を組み合わせた河川流量再解析
*児島 幸紀1、山崎 大2 (1. 東京大学 工学系研究科、2. 東京大学 生産技術研究所)
キーワード:
河川モデル、データ同化、衛星、河川流量推定
全球河川モデルの精度向上のため、衛星から観測・推定された流量(Q)や水面標高(WSE)データの同化が進められてきた。WSEは河床標高パラメータの誤差により直接同化が困難で、正規化した値の同化が一般的だが、これは平均からの偏差情報のみを与えるため、流量再解析値が真値に近づく保証がない。一方、衛星推定Qは正規化処理なしに同化可能だが、推定アルゴリズムの不確実性が大きい。本研究では、1段階目で衛星推定Qを同化してWSEの平均・分散を補正し、2段階目で正規化WSEを同化する2段階同化手法を提案する。全球河川モデルCaMa-Floodに、WSEプロダクトDAHITIおよびSWOT衛星観測によるQ推定プロダクトを、局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)を用いて同化した。WSE同化では、観測値・モデル背景値をそれぞれの平均で減算し標準偏差で除算して正規化した。1周目でSWOT推定Qを同化して再解析結果からWSEの平均・分散を算出し、2周目ではこれを用いてモデルWSEを正規化した。対象はミシシッピ川流域とし,再解析流量を米国地質調査所(USGS)の現地観測流量111地点と比較し、正規化二乗平均平方根誤差(NRMSE)およびそのImprovement Index(IMI)で評価した。IMIの平均値は、2段階同化なしで0.039、ありで0.103となり、平均・分散補正の有効性が示された。流量同化により平均は89/111地点、分散は71/111地点で改善され、2段階同化ありの正規化WSEの性能が向上した。 ハイドログラフでは、Q単体の同化は現地観測流量を概ね再現するものの2024年7月のピーク流量を捉えきれなかった。これはSWOTの再訪周期が10日であり、ピーク時期と重ならないとピークが平滑化されるためである。一方、2段階目でWSEを同化した実験ではピークや流量の上昇・下降過程が現地観測に近づいた。複数衛星コンステレーションにより近傍WSEが高頻度に観測されるため、ピーク流量情報が含まれやすいことに起因する。衛星推定Qの同化により再解析流量の平均・分散を補正でき、これに基づく正規化WSE同化が流量再現精度を向上させることを示した。今後は、流量同化による補正効果が有効となる地域特性について詳細に分析する予定である。
