講演情報
[PS-01-18]土地被覆変化と水質の関係による生態環境への影響評価
*髙橋 智也1、川越 清樹2、薮崎 志穂3 (1. 福島大学大学院 共生システム理工学研究科、2. 福島大学 共生システム理工学類、3. 総合地球環境学研究所)
キーワード:
水循環システム、土地被覆、河川水質、サケ
福島県浜通り地方では,東日本大震災や原子力発電所の事故からの復旧,山間部の風力発電開発,気候変動などに伴う流域の土地被覆や水環境の変化が示唆されている.並行して,流域内の生態環境にも変化が生じると推測され,既に社会営利活動に関わる生態にも影響が現れている.例えば,サケはかつての福島県浜通り地方の名産であったものの,近年になり漁獲量が著しく低下し,継続的な営利活動を困難にさせている.こうした現状を踏まえ,生態環境変化の影響を水循環システムから同定し,将来の変化を誘導するための調査解析が必要である.本報告では,生態環境の形成につながる水循環システムを同定することを目的に,土地被覆と水質の関係性を福島県浜通り地方の流域間で比較検討することに取り組んだ.なお,生態環境の影響を誘導するためのターゲットにサケを設定している.サケは,冷水を好む遡河性回遊魚で,北日本の重要な水産資源である.福島県浜通り地方に限らず各地で,海域の水温上昇とともに漁獲量・回帰率が減少する傾向を示している.ただし,遡上障害となる河口閉塞の解消,水深や水温の安定化によっては,希少なサケ漁場を確保できる可能性も残されている.研究対象領域として,先行解析の福島県浜通り地方の河川群で特徴を示したサケ遡上の盛んな4河川(新田川,請戸川,富岡川,木戸川)を設定した.解析の全体構成は,①土地被覆解析,②河川水質解析で構成され,河川間で比較検討した.解析結果を包括すれば,土地被覆変化の乏しい新田川は地下水供給の影響が相対的に大きい傾向が明らかにされている.そのため,比較的にサケの嗜好する安定的な水循環システムが残存している可能性も示唆される.ただし,現在の結果は,土地被覆と水質による動向にとどまる.例えば,土地被覆解析から得られた情報を,サケ産卵に環境場に置き換えるためには,流域裸地の大小差が河道形状(河床材,水深)に与える影響も検討しなければならない.また,水質分析では,冷涼な水質に寄与する地下水の湧出影響の精査も必要である.これらの要素の検証のため,今後は対象領域を解析方法①の結果で得られた2流域(木戸川・新田川)に限定し,河道形状と地下水流出の影響に着目し,より緻密な調査・解析を実施する.これらの解析も含めて,水循環システムを評価し,あわせて,生態環境の影響を誘導するターゲットのサケとの関連も求める意向である.
