講演情報

[PS-01-19]高水敷圃場の浸水特性と農業生産の持続性評価

*我妻 成貴1、川越 清樹2、齋藤 洋介3 (1. 福島大学大学院 共生システム理工学研究科、2. 福島大学 共生システム理工学類、3. 陸奥テックコンサルタント株式会社)
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キーワード:

浸水、圃場、高水敷

気候変動の進行に伴い短時間強雨が増加し、これに起因する洪水・浸水被害が全国的に激甚化している。特に中小河川や都市近郊の低地では従来の治水対策では対応が難しく、流域全体で水害リスクを軽減する「流域治水」が推進されている。本研究は、流域治水の実践における国土有効活用の一環として、浸水条件下でも成立し得る農業利用の可能性に着目したものである。対象は東北地方の国管理河川(阿武隈川・岩木川・米代川・名取川)に分布する高水敷圃場とし、圃場分布、浸水頻度、冠水実績を総合的に分析した。過去40年間の河川水位観測データを用い、浸水深1.0〜2.0mの発生頻度を一般化極値分布(GEV)により推定した結果、SLSCは概ね0.04以下で解析の信頼性が確認された。阿武隈川では丸森・八幡で5〜15年に一度の高頻度冠水がみられ、岩木川では幡龍橋で深い浸水が長時間継続した。一方、米代川や名取川では浸水頻度・冠水時間が総じて低く、河道幅が広く狭窄部が少ないことが浸水リスク低減に寄与していた。名取川袋原圃場では浸水深約0.2m、冠水時間約12時間と浅く短い冠水にとどまり、地形安定性が確認された。これらの結果から、狭窄部に位置する圃場では深い浸水が長時間継続しやすく、地形条件が浸水特性を左右することが明らかとなった。また、丸森・八幡のネギ・サトイモ・キャベツ、岩木川流域のリンゴなど、一定の浸水条件下でも生産が継続される作物が存在し、浸水と共生可能な農業の可能性が示唆された。今後は作物ごとの浸水耐性評価や地域特性を踏まえた土地利用モデルの構築を進め、流域治水と農業生産の両立に資する持続的な農業のあり方を検討する。