講演情報
[PS-01-22]令和6年能登豪雨を対象にした確率的イベントアトリビューション
*井川 椋介1 (1. 京都大学院 工学研究科)
キーワード:
気候変動、河川、頻度解析
近年,地球温暖化に伴う気候変動により豪雨災害の激甚化が懸念されている.本研究では,令和6年能登豪雨を対象として,気候変動が降雨・河川流量・浸水面積に与えた影響を確率的イベントアトリビューション(EA)により評価した.解析にはd4PDFを用い,過去実験(HPB)と非温暖化実験(NAT)を比較した.また,能登半島の複数河川を対象とした降雨流出氾濫モデル(RRI)を用いて洪水流量と浸水面積を算出し,5年最大値にGumbel分布を適用して頻度解析を行った. その結果,令和6年能登豪雨に対応する6時間雨量102mmの再現期間は,HPB実験で97.8年,NAT実験で201年となり,気候変動により発生頻度は2.05倍に増加していた.河原田川輪島地点のピーク流量967m³/sについては,再現期間がHPB実験で332年,NAT実験で598年となり,発生頻度は1.80倍であった.また,浸水面積22km²では,再現期間がHPB実験69.7年,NAT実験268年となり,発生頻度は3.85倍となった.一方,各変数の再現期間に対応する変化率は,雨量と流量では約1.09であったのに対し,浸水面積では1.37と大きかった. さらに,同一年におけるHPB実験とNAT実験の順位相関を調べた結果,雨量・流量・浸水面積のいずれも相関係数は0〜0.15と低かった.これは,能登豪雨のような局地的災害では,大規模な境界条件よりも局所的な気象場の影響が支配的であることを示唆している.以上より,気候変動は能登豪雨の発生頻度と被害規模を増加させており,特に浸水面積への影響が顕著であることが明らかとなった.
