講演情報

[PS-01-36]気象場の遷移過程に着目した機械学習降雨予測モデルの開発と淀川流域への適用

*井上 陽雲1、kim sunmin1、立川 康人1 (1. 京都大学 工学研究科社会基盤工学専攻)
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キーワード:

降雨予測、クラスタリング、機械学習

近年、地球温暖化の進行に伴う気候変動の影響により水循環プロセスが変化し、日本各地で災害級の豪雨が頻発していることから、減災に資する予測精度の向上が急務となっている。従来の予測手法では局地的な集中豪雨や長期的な気象予測に課題があるため、本研究では機械学習および気象場のクラスタリングを用いたアプローチを採用し、気象要素の遷移パターンと降水との関係を解析した上で、新たな降水予測モデルを提案することを目的とした。分析には、欧州中期予報センター(ECMWF)が提供する全球再解析データセットERA5の1940年から2024年のデータを用いている。日本周辺域における豪雨と関連の深い6つの気象要素を対象とし、季節変動を除去して突発的な気象変動を抽出するため、日平均値から直近30日間の移動平均を差し引いてアノマリーを算出した。さらに、豪雨が頻発する5月から8月のデータを抽出・標準化している。この広域データと淀川流域周辺の日積算降水量との関係を解析するため、まずAutoencoderを用いて日々の広域気象場を64次元の潜在変数へと次元削減した。次に、マクロな気圧配置パターンを分類するためk-means法(クラスター数9)を適用し、淀川流域の降水量変動を最も適切に説明できる結果を採用している。日次クラスター遷移図を作成して解析した結果、通常時は同クラスターに留まる遷移が多いものの、翌日が上位数%の豪雨となる場合には別の特定の遷移パターンが頻出することが確認され、これらは気象学的観点からも裏付けられた。この分析結果を踏まえ、時系列データの学習に優れた深層学習モデルのLSTMを用いて予測モデルを構築した。直近5日間の64次元潜在変数の推移を入力とし、翌日の淀川流域周辺の降水量を5段階ランクで予測した結果、テストデータに対する全体正答率は53%となった。降水量の全体的な傾向を概ね捉えることには成功したものの、大雨クラスの予測精度は相対的に低く、極端な豪雨現象の予測においては依然として課題が残る結果となっている。結論として、淀川流域の降水量と周辺の大気場の遷移との関係性が明らかになり、降雨直前には特定のクラスター遷移パターンが発生しやすいことが確認されたものの、降雨予測モデルへの実践的な応用についてはさらなる改善の余地があることが示された