講演情報
[PS-01-40]WRFによる九州地方の線状降水帯再現に及ぼす側面境界配置の影響評価
*髙崎 昌幸1、豊田 悠太郎1、手計 太一2 (1. 中央大学大学院 理工学研究科、2. 中央大学理工学術院)
キーワード:
WRF、境界条件、線状降水帯、集中豪雨、九州地方
本研究では,九州地方における線状降水帯の再現性に対して,側面境界の空間配置が及ぼす影響を明らかにすることを目的として,領域気象モデルWRFを用いた数値実験を行った.九州地方は東シナ海からの暖湿流の流入路に位置しており,梅雨期を中心に停滞前線に伴う線状降水帯が発生しやすい.一方で,線状降水帯の形成および維持には,低層の水蒸気供給,収束場,対流の組織化など複数の過程が関与するため,気象モデルによる再現には依然として課題が残されている.そこで本研究では,平成29年7月九州北部豪雨および令和元年8月九州北部豪雨の2事例を対象とし,第1領域の側面境界位置を段階的に変化させた計12ケースの数値実験を実施した.各ケースでは,物理過程,水平解像度,鉛直層数,計算期間,初期・境界条件およびネスティング条件を統一し,側面境界の空間配置のみを変化させた.線状降水帯の再現性は,最大3時間積算降水量および最大24時間積算降水量から抽出した降水域に対して楕円近似を適用し,面積積分総降水量,降水分布の不均一度,強雨域面積率,楕円中心位置,降水ピーク時刻,降雨継続時間の6指標により評価した.各指標は全国合成レーダーGPVを基準として正規化し,レーダーチャートを用いて総合的に比較した.その結果,Event 1では短時間強雨および降雨持続性の再現が限定的であった一方,Event 2では短時間強雨は概ね再現されたものの,持続性に課題が残るケースが確認された.総合評価では,両事例においてNum 11が最も高い評価を示し,さらに指標間の重みを変化させた感度分析においても,Num 11は安定して高い再現性を示した.また,西側境界および南側境界から流入する地表面から850 hPaまでの低層水蒸気輸送量を解析した結果,Num 11はFNL解析値との決定係数が0.98以上と高く,RMSEも最小であった.以上より,本研究で対象とした2事例および計算条件の範囲では,側面境界の空間配置が低層の水蒸気流入場の再現性を通じて線状降水帯の再現性に影響を及ぼすことが示された.特に,西側境界を東シナ海北東部に配置したNum 11の領域設定は,九州地方における線状降水帯の再現に有利であることが示唆された.
