講演情報
[PS-01-43]全球数値予報モデルの降水を用いたキキクル週間予報― 台風事例を対象とした初期的評価 ―
*池田 翔1、太田 琢磨1 (1. 気象研究所 応用気象研究部)
キーワード:
全球降水予報、キキクル、中期的洪水リスク予測、流域雨量指数
気象庁キキクル(危険度分布)は、浸水害・洪水害・土砂災害の発生の高まりを表す各種指数と、全国の気象台が収集した実際の災害記録との対応関係から、目先の避難に直結する情報を発信できる点に、ほかの水文モデルにはない最大のアドバンテージを持つ。ところが、例えば現状の洪水キキクルでは3時間先までの予測に限られ、住民の早期避難や農業利用・ダム管理などといった社会経済活動への利用にあたっては、リードタイムが十分とは言い難い。本報告では、全球モデルの降水を入力した週間スケール(5日先まで)のキキクルの応答について、2024年の台風第10号事例を用い初期結果を報告する。降水データは、予報の確からしさを見積もる複数シナリオを提示することを目的に、気象庁(GSM)とヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)による全球予報値を用い、日本域を対象に、5日先まで予報を行った。九州地方南部で、台風の影響により降水が強まり指定河川で氾濫危険情報が発表された時刻を含む、8月28日01時(UTC)~29日00時(UTC)について検証を行った結果を記す。まず台風の進路予測について、両モデルともに3日前から九州地方に上陸する予測に成功した。降水量については、両モデルとも過少予測だが、本期間ではGSMのほうが相対的に予測成績は良好だった。したがって、両モデルともに浸水・洪水キキクルの危険度予測も過少傾向だったが、GSMのほうが相対的に予測成績は良い傾向が見られた。台風位置の予測に成功すると危険度上昇のシグナルは得られたが、危険度は過少な地域が多かった要因として、台風循環に伴うメソスケールの収束線や地形性降水の予測の失敗が考えられた。
