講演情報

[PS-01-58]花崗岩流域における地下水位変動の再現と山体内部の水理特性評価

*小谷 隼人1、内田 龍彦1、海堀 正博2 (1. 広島大学先進理工系科学研究科、2. 広島大学防災・減災センター)
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キーワード:

現地観測、岩盤内地下水位、タンクモデル、実効雨量、空隙率

山体が降雨に対してどの程度の貯留能を持ち、基底流出をどのように支えているかを把握することは、流域治水や土砂災害予測において不可欠な要素である 。しかし、従来の流出解析では貯留量は流域全体の統合量として扱われることが多く、風化基岩や亀裂性岩盤内における空間的に不均質な貯留構造の実態は十分に解明されていない 。特に、2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた広島県などの花崗岩流域では、まさ土に起因する土石流発生危険度が高く、山体内部の水循環プロセスを統合的に理解する必要がある 。 本研究では、広島県東広島市に位置する花崗岩流域(ががら山)を対象に、2021年から2025年にかけて岩盤内および表層の地下水位を継続的に観測した 。対象斜面は平均勾配約23度で、降雨時以外にも恒常的に高い地下水位が維持される地点が含まれる 。計測にはS&DLmini水位計を用い、山頂および中腹の計11地点で2分間隔の高精度な観測を実施した 。 得られた観測データに基づき、実効雨量式を用いて水位波形の再現を試みた結果、水位の減衰特性を示す半減期および応答の遅れ時間を「地下水位依存の変数」として扱うことの有効性を明らかにした 。この知見を反映させ、山体を「表層」と「岩盤層」の二層構造として捉えた二段タンクモデルを構築した 。本モデルを岩盤内の地下水位観測地点に適用したところ、高い相関係数で水位変動を再現することに成功した 。 また、モデルパラメータから算出した透水係数および空隙率は、深部ほど値が小さくなるという物理的妥当性を示した 。さらに、各パラメータと初期地下水位の間に正の相関が認められたことから、これらを一次関数で定式化する手法を確立した 。これにより、従来のような煩雑なパラメータ同定作業を大幅に短縮しつつ、妥当な精度で地下水位を予測することが可能となった 。今後は、標高差を考慮した無次元化を行うことで、異なる山体へのモデルの適用性と汎用性を高めていく予定である