講演情報

[PS-02-15]水文(気象)条件に対応した灌漑面積変化の水資源モデルへの導入

*相京 雄大1、花崎 直太2、平林 由希子3 (1. 芝浦工業大学大学院 理工学研究科、2. 国立環境研究所 気候変動適応センター、3. 芝浦工業大学 工学部土木工学課程)
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キーワード:

灌漑農地、全球水資源モデル、適応行動、GRACE-FO

気候変動下で食料生産の増大と水資源の持続可能性を両立するには,水需給の年々変動を考慮した評価が不可欠である.従来の全球水資源モデルでは,灌漑農地面積を固定的に扱うことが多いが,実際の農家は水利用可能量などに応じて毎年作付面積を調整している.本研究では,中国の主要3流域を対象に,灌漑農地面積の年々変動が水文気象条件に応答するかを調査し,その関係を全球水資源モデルH08に導入した場合の陸水貯留量推計への影響を評価した.
2000年から2018年を対象に,H08を0.5度解像度で実行し,気象強制力にWFDEIを用いた.初めに,灌漑農地面積はIrriMap_Synを流域単位に集計し,前年の降水量・河川流量・地下水涵養量との遅延相関を解析したうえで,最も高い相関係数を示す要素を支配的要因とした.さらに,支配的要因の直近3年に対する前年値の比率を用いて,前年の灌漑面積に乗じることで灌漑農地面積を毎年更新するアルゴリズムを実装し,灌漑面積を固定したケースおよびGRACEに基づくTWSアノマリと比較した.
解析の結果,長江流域では前年の河川流量,降水量,地下水涵養量のいずれも灌漑面積変動と有意な相関を示し,特に前年の河川流量が最も高い相関を示した.一方,黒竜江省および黄河流域では有意な支配的要因は確認されず,灌漑面積変動には耕地拡大や営農条件など水文以外の要因が影響している可能性が示された.
長江流域において水文条件に対応した灌漑面積変化を導入した結果,TWSが低下する時期に固定ケースより貯留量低下が緩和され,2016年には年平均で8.14mmの水が流域内に保持された.これは同年のTWSの季節変動の全振幅の約5.1%に相当する.