講演情報
[PS-02-25]日本域長期再解析データRRJ-Convによる極値降雨の空間特性評価
*岩部 幸雄1、平賀 優介1、田原 亮太郎1 (1. 東北大学大学院工学研究科)
キーワード:
再解析データ、極値降雨、台風降雨、SAL(構造・強度・位置)指標
本研究では,気象庁気象研究所と東北大学が共同開発した日本域長期再解析データ「RRJ-Conv」を用いて,日本における極値降雨の空間特性および再現性の評価を行った.近年,日本では豪雨災害の激甚化・頻発化が進行しており,気候変動下における合理的な治水計画や水災害リスク評価のためには,極値降雨の長期変動や空間分布を高精度に把握することが重要である.しかし,AMeDASなどの地上観測は観測点密度に限界があり,解析雨量も観測期間や地形遮蔽などの課題を有している.これに対し,再解析データは物理法則に基づき長期間かつ面的な気象場を提供可能であり,治水分野への活用が期待されている. 本研究では,RRJ-Convの降雨量を観測点と比較するため,4近傍格子を用いた逆距離荷重法(IDW)による空間補間を適用した.極値指標には年最大日降雨量を採用し,空間分布,量的誤差,時間変動の観点から再現性を評価した.さらに,全球再解析データであるJRA55およびERA5との比較も行い,RRJ-Convの特徴を検証した.また,再現性低下要因を明らかにするため,RMSEが大きい観測所を対象として正規化差分解析を実施し,外れ値事例における台風降雨の寄与を調査した.加えて,台風事例に対してSAL(Structure–Amplitude–Location)指標を用いた統計的評価を行った. 解析の結果,RRJ-Convは紀伊半島,四国南部,九州南部など太平洋側の多雨域を良好に再現し,日本海側から太平洋側への降水量勾配も概ね表現できていた.量的評価では,系統的バイアスは比較的小さく,RMSEは既存再解析データと同程度あるいはそれ以上の精度を示した.また,年々変動についてもERA5が最も高いものの,RRJ-Convは比較的高い相関係数を示し,極値降雨の時間変動を適切に捉えていた.一方で,外れ値解析では極値降雨の過小評価が卓越し,特に大きな誤差事例の多くが台風起因であることが明らかとなった.SAL解析でも,降雨強度や降雨域構造は過小評価傾向を示した一方,強降雨域の位置再現性は比較的良好であった.以上より,RRJ-Convは極値降雨の空間分布や長期特性の再現に優れる一方で,台風に伴う強い対流性降雨の再現性向上が今後の課題であることが示された.
