講演情報
[PS-02-28]福島県浪江町の地下水の水質と水位変化の特徴
*藪崎 志穂1、川越 清樹2 (1. 総合地球環境学研究所 基盤研究部、2. 福島大学 共生システム理工学類)
キーワード:
浪江町、地下水、水質、安定同位体、地下水位変動
本発表では,福島県双葉郡浪江町の沿岸域および内陸部に設置した観測井の水位と水質の季節変化の特徴について報告する.2025年1月に沿岸から約7 km,標高約30 mの場所(内陸部)に深さ12 mの観測井,2025年11月に沿岸から約0.3 km,標高約3 mの場所(沿岸域)に深さ10 mの観測井(共に不圧地下水)を設置した.観測井には,水位と水温,ECのロガーを設置して,30分間隔でデータを記録し,定期的に地下水採取も実施している.これら2地点および内陸部1地点に蒸発防止構造を備えた降水採取装置を設置し,定期的に試料を回収している.採水した試料は,主要溶存イオン,微量元素,酸素・水素安定同位体比,Sr安定同位体比の測定を行った.また,滞留時間推定用としてCFCsとSF6分析用の採水を行った.
内陸と沿岸の観測井の水質組成はCa-HCO3型で近似した組成を示すが,溶存成分濃度は沿岸域のほうが高く,地質や滞留時間の影響により水質の差異が生じていると考えられる.NO3–濃度は沿岸および内陸共に低く,人間活動の影響は殆ど受けていないと見なせる.δ18O,δ2Hは内陸部の観測井のほうが若干低く,涵養標高の影響が現れていると考えられる.標高別降水同位体比には標高と負の相関が認められており,今後データを蓄積することにより涵養標高の推定が可能であると考えられる.観測井の87Sr/86Srは内陸部では約0.706で,沿岸部ではそれよりもやや高い(約0.707)が,海水の値(0.70918)と比べると明瞭な差が認められる.各分析結果から,これまでの観測期間においては沿岸域の観測井の地下水には海水侵入の影響が及んでいないことは明らかである.
内陸部の観測井の水位はGL–8.3~–7.7 mの範囲で変動しており100 mm程度の多量の降水イベントが発生した際には0.07 m程度の水位上昇が生じているが,相対的に大きな水位変化は認められない.またECも概ね一定しており,卓越流(preferential flow)の影響は少ないと考えられる.一方,沿岸域の観測井の水位はGL–2.4~–1.8 mの範囲で変動しており,降水イベントに対する応答が認められるが,日変動は少なく潮汐の影響は少ないと考えられる.比較的多量の降水イベントが生じた際にECは低下する傾向が認められ,これは水位変化の特徴と整合していることを把握した.
内陸と沿岸の観測井の水質組成はCa-HCO3型で近似した組成を示すが,溶存成分濃度は沿岸域のほうが高く,地質や滞留時間の影響により水質の差異が生じていると考えられる.NO3–濃度は沿岸および内陸共に低く,人間活動の影響は殆ど受けていないと見なせる.δ18O,δ2Hは内陸部の観測井のほうが若干低く,涵養標高の影響が現れていると考えられる.標高別降水同位体比には標高と負の相関が認められており,今後データを蓄積することにより涵養標高の推定が可能であると考えられる.観測井の87Sr/86Srは内陸部では約0.706で,沿岸部ではそれよりもやや高い(約0.707)が,海水の値(0.70918)と比べると明瞭な差が認められる.各分析結果から,これまでの観測期間においては沿岸域の観測井の地下水には海水侵入の影響が及んでいないことは明らかである.
内陸部の観測井の水位はGL–8.3~–7.7 mの範囲で変動しており100 mm程度の多量の降水イベントが発生した際には0.07 m程度の水位上昇が生じているが,相対的に大きな水位変化は認められない.またECも概ね一定しており,卓越流(preferential flow)の影響は少ないと考えられる.一方,沿岸域の観測井の水位はGL–2.4~–1.8 mの範囲で変動しており,降水イベントに対する応答が認められるが,日変動は少なく潮汐の影響は少ないと考えられる.比較的多量の降水イベントが生じた際にECは低下する傾向が認められ,これは水位変化の特徴と整合していることを把握した.
