講演情報
[PS-02-36]灌漑地における塩類集積潜在リスク分布
*北村 裕和1、吉川 沙耶花2 (1. 長崎大学大学院 総合生産科学研究科、2. 長崎大学 総合生産科学域)
キーワード:
二次塩類集積、全球推定、乾燥指数
食料需要の増加に伴う灌漑農地の拡大によって,塩類集積は農業生産に深刻な影響を及ぼしている.今後,塩類集積発生の抑制や劣化した土壌の再生に対する資金援助,国際的な食糧生産を計画的に行っていく上で,塩類集積の潜在リスクを全球規模で示すことは必要不可欠である.しかしながら,全球規模での塩類集積の現状と実態については明らかになっていない部分が多い.既往研究では,灌漑地における塩類集積を誘発する因子を,「土壌」,「乾燥」,「地下水位」,「地下水の状態」,「灌漑様式」の5つに仮定し,全球規模での潜在リスク分布を推定した.そこで,観測データとの比較によりこの結果の適合性の評価を行った.土壌の塩分濃度を示す観測データとして電気伝導度を用いた.電気伝導度8.0dS/m以上を塩類集積発生地と仮定し,推定した潜在リスクと比較すると,いくつかの地点でリスクを過小評価していることが明らかとなった.本研究では主に2つの改良を行い,より実際の塩類集積を反映した潜在リスク分布を推定することを目的としている.第一に,標高が低く起伏の小さな地形を抽出した地形的要因を6つ目の環境要因として統合した.第二に,「乾燥」の因子について複数の指標を用いて推定を行った.既存の5つの因子による推定結果をケース1,既存手法に地形的な要因を追加した6つの因子による推定結果をケース2,既存手法に地形的な要因を追加し,「乾燥」の指標を変更した6つの因子による推定結果をケース3として,それぞれ二次塩類集積の潜在リスクを推定しその結果を比較した.その結果,ケース2,ケース3では灌漑農地の約9割が二次塩類集積の何かしらの潜在リスクを抱えており,1割以上が4つ以上の潜在リスク要因を抱えていることが明らかになった.また,中国北東部やアルゼンチン,イタリア,インドシナ半島がケース1と比較し新たに最も高いリスク帯として抽出された.さらに,ケース1と比較して,ケース2,ケース3は,リスクが過小評価されていたいくつかの地域で適合性が向上していることが示された.
