講演情報
[PS-02-37]印旛沼循環灌漑地区における排水路内堆積を考慮した一時間間隔での全窒素解析
*岩崎 隼也1、飯田 俊彰2 (1. 株式会社建設技研インターナショナル、2. 立正大学地球環境科学部)
キーワード:
循環灌漑、印旛沼、タンクモデル、全窒素
国営印旛沼二期農業水利事業では、循環灌漑が導入されている。水田からの排水は一度低地排水路に集められ、再び取水され用水として利用されている。循環灌漑による印旛沼への栄養塩類流出負荷の低減効果が期待されている。循環灌漑の効果を保ちつつ利水の利便性を損なわないためには、低地排水路の水位・水質の経時変化を把握し、それに基づき柔軟に機場操作を行うことが有効と考えられる。既往の研究にて作成された低地排水路の水位とTN濃度を計算するモデルは、適合度が十分でなく、Δt=24hであるため、1日の水移動をまとめて処理することで非現実的な挙動が生じた。また、用排水機場や水田管理は日内で時間的に区切られることが多く、詳細な操作解析を行うにはΔtの短縮が適切と判断された。本研究では、Δt短縮によるモデルの水位変化およびTN濃度の変化を報告する。Δtの短縮にあたり、モデルへの各種入力値を一時間単位のものに修正した。蒸発散量はペンマン式を用いて算出した蒸発散位に補正係数をかけることで定義し、これにより対象流域における水収支を合わせた。さらに、低地排水路内の堆積物を考慮するために、非灌漑期の無降雨日における排水機場での排水量と水位変化の関係をもとに、低地排水路における水位と水量の関係を定義しなおし、モデル計算に反映した。その後、タンクモデルのパラメータを試行錯誤および遺伝的アルゴリズムによる大域的探索によって決定した。TN濃度の計算については、施肥による圃場へのTN供給量やその経時変化を既往の研究における現地農家三件へのアンケート結果やJA長生が提示する推奨値などをもとに試行錯誤的に決定した。また、脱窒率や作物吸収率、溶出率についても試行錯誤的に決定した。低地排水路の水位を計算するモデルはNS=0.30、TN濃度を計算するモデルはNS=0.63となった。モデルで計算された圃場及び後背地からの低地排水路への流量やTN負荷量を低地排水路での収支をもとに推定した推定値と比較すると、一日ごとの累積値においては流量でNS=0.98、TN負荷量でNS=0.82と高い適合度を示した。また、低地排水路へ流入した水の流入量やTNの流入負荷量の流入元を同定すると、降雨のある六月中旬から七月までは圃場および後背地からの流入や負荷が多いことが定量的に示された。
