講演情報
[PS-02-38]石礫床河川における河道内植生繁茂と土砂動態の数値解析
*山本 道1、風間 聡1 (1. 東北大学大学院工学研究科土木工学専攻)
キーワード:
河畔植生、河道内樹木、土砂収支、河床材料、河床変動解析
河川管理において,水および土砂の管理に加え,河道内植生の管理負担が増加している.一方,植生の繁茂は河道内の流れ場や土砂輸送を変化させ,植生域周辺への土砂堆積,主流路の浸食,河床材料の分級などを通じて,河道地形の変化を促進する可能性がある.しかし,植生発達に伴う土砂収支変化は十分に定量化されていない.そこで本研究では,山形県寒河江川下流部約7 kmを対象に,河道内植生の繁茂が洪水時の土砂動態に及ぼす影響を,数値河床変動解析により評価した.対象区間において,河道内植生の繁茂が確認されており,流路形態は網状流路から,裸地の交互砂州と密な植生群落を伴う蛇行流路へ変化している.本研究では,iRIC Nays2DHを用いて平面二次元河床変動計算を実施した.河床地形には2013年度の河川横断測量データを用い,補間した地形上に約15 mサイズの非構造計算格子を作成した.植生条件は2013年の空中写真に基づき,木本域と草本域を判別して設定した.数値実験では,同一の地形・水文・河床材料条件の下で,2013年の河道内植生を考慮した植生繁茂条件と,植生を除いた無植生条件の2ケースを比較した.その結果,植生繁茂条件では植生域における堆積が顕著である一方,流路部では浸食傾向が確認された.計算前後の河床高から土砂収支を整理すると,河道内土砂量は植生繁茂条件で9.2×102 m3増加し,無植生条件では1.6×103 m3増加した.すなわち,植生繁茂により計算区間を通過する土砂量が42%増加した.この結果は,植生による流れの集中が区間全体の河床せん断力を高め,掃流砂量を増加させたことを示唆する.さらに,洪水後の河床材料粒径にも植生の影響が表れた.植生繁茂条件では流路中心において粗粒化が確認された.一方,その側方では比較的大きな細粒化が生じ,植生周辺への細粒土砂の取り込みが示された.以上より,河道内植生の繁茂は,単に植生域で土砂を捕捉するだけでなく,流れの集中を通じて流路内の土砂輸送を増加させ,河床材料の粗粒化と植生周辺の細粒化を同時に進行させることが示された.このような地形および粒径の二極化は,さらなる植生侵入適地の形成を通じた河道内植生の過剰繁茂の可能性を示唆した.
