講演情報

[PS-02-41]荒廃地域の樹林による土砂流出影響とEco-DRR効果への効果

*星 歩武1、川越 清樹1、鈴木 皓達2 (1. 福島大学、2. 三井共同建設コンサルタント)
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キーワード:

流域治水、土砂崩れ、気候変動適応、無人航空機

気候変動に伴う水災害の激甚化に対し、河道対策だけでなく流域全体で対策を講じる「流域治水」の重要性が増している。その一環として、自然資本である樹林の防災機能を活用する「Eco-DRR(生態系を基盤とした防災・減災)」が注目されている。本研究では、福島県阿武隈川水系の荒川上流域を対象に、樹林が土砂流出に与える緩衝効果やその動態を明らかにすることを目的とした。解析には衛星画像およびUAV(無人航空機)を用いた。まず、1992年から2024年の衛星画像からNDVI(正規化植生指数)を算出し、長期間継続して植生が欠如している裸地領域を特定した。次に、これら裸地領域と植生条件の関係を比較分析した。さらに、UAVによる空撮データから樹高や樹木の配列などの緻密な情報を取得し、土砂流出に対する物理的な緩衝効果を検証した。解析の結果、荒川遊砂地上流の流域面積の約10%に相当する5.9km²が、30年以上にわたり継続して裸地化していることが判明した。これらの領域は河道付近に集中しており、降雨時の直接的な土砂供給源となっていることが示唆された。 植生条件との関連では、コナラ群落等の特定の林相で裸地化や拡張が顕著であり、これは先行研究で見られる普遍的な条件と合致した。また、UAV解析により、斜面末端部の樹高20m〜30mの高木が、流出する土砂を物理的に捕捉して河川への流入を抑制する「土砂流出緩衝機能」を果たしている実態が明らかになった。これらはEco-DRRの有効性を示す重要な知見である。今後は現地測量を加えデータの精密化を図るとともに、シミュレーションを用いた土石流モデルの検討を行う。これにより、適切な樹林配置の検討や、気候変動適応策としてのEco-DRR効果の定量的評価を深化させる意向である。