講演情報
[PS-02-42]洪水許容と水害防備林による中小河川の流域治水対策の数値実験
*仁野平 未來1、川越 清樹1、鈴木 皓達2 (1. 福島大学共生システム理工学研究科、2. 三井共同建設コンサルタント)
キーワード:
流域治水、河道内植生、グリーンインフラ
本研究では,福島県夏井川流域を対象として,洪水を一部許容する流域治水と水害防備林を組み合わせた新たな治水方策について数値実験を行った.近年,気候変動に伴う短時間豪雨や線状降水帯の頻発により,中小河川における洪水リスクは増加している.一方で,人口減少や維持管理労働力不足により,従来型の河川改修や継続的な河道植生管理を維持することが困難となりつつある.そのため,本研究では,洪水を完全に防ぐのではなく,一時的な遊水機能を許容しながら被害軽減を図る「洪水許容型治水」に着目した. まず,Sentinel-2衛星画像を用いて2017年から2024年までの河道内NDVI解析を実施し,安定的に植生が繁茂する領域を抽出した.さらに現地調査を行い,ヨシやススキなど多年生草本が地下茎により高い再生力を持つことを確認した.これにより,維持管理が困難な植生域を「植生伐採放置候補地」として整理した. 次に,降雨流出氾濫(RRI)モデルを用いて,令和元年東日本台風および将来想定降雨を対象とした流出解析を行った.解析では,植生の有無を想定して粗度係数を0.03から0.04へ変化させ,流量分布やピーク流量への影響を評価した.その結果,下流市街地では浸水リスクが高い一方,上流側の小川地区周辺では農地・森林が広がり,洪水を一時的に受け止める遊水機能の導入可能性が示唆された.また,粗度変化によるピーク流量への一定の影響も確認された. 今後は,上流域・植生繁茂域・下流域に区分した領域分解型解析を導入し,植生分布に応じた局所的な流量変化を評価することで,洪水許容空間と水害防備林の適正配置を検討する予定である.
