講演情報
[PS-02-47]氾濫の許容による流域の流出特性と被害特性に関する数値実験
*宇賀神 瑠杜1、横尾 善之2、風間 聡1 (1. 東北大学 工学研究科、2. 福島大学 共生システム理工学類)
キーワード:
RRIモデル、氾濫、洪水、流出特性
災害による被害が頻発化・増大している中,日本の人口減少地域では治水投資額が減少することで,河川堤防の維持が困難となっている.これに対し,自然地形を利用した治水構造物の有効性が示されている.しかし,これらの解析には内水氾濫が未考慮であり,氾濫を許容できる可能性のある領域についての知見が乏しい,という課題がある.したがって,氾濫を許容することが可能な地域特性と,それらが流域全体に与える影響が未だ不明である.そこで本研究では,複数流域の全体において,無堤防化を想定した降雨流出氾濫解析と被害額を算出することで,氾濫の許容によって生じる流出特性・被害特性の解明を目的とする.これにより,流域一体的な治水に向けた適切な不連続堤の地形特性とそのポテンシャルを検討した.対象流域は人口減少が著しい東北地方の,阿武隈川・最上川・北上川・雄物川・米代川の5つの河川流域全体とした.その結果,各流域の地形・土地利用特性の違いにより,氾濫許容による流出特性と被害特性も異なっていることが明らかになった.米代川流域は狭小な氾濫原により洪水流の早期流出の特性を有しており,最上川流域は被害額を抑えた貯留効果が大きい.一方で,北上川流域は浸水時間の長期化と被害増大の特性から,他流域に比べて連続堤防による治水効果が大きい傾向にある.土地利用別では,荒れ地・畑地は早期流出に,田んぼは一時的な遊水に適した特性を示した.また,河川区間の分類により,各流域の大河川では「一時的に遊水効果を持つ区間」が全河川長の約0.5%存在していた.中小河川では洪水流・氾濫流を早期に流出させる,「氾濫を促す区間」と「氾濫水を多く回収する区間」の割合が大河川に比べて高く,氾濫原を経由した早期流出の有効性が示唆された.
