講演情報

[PS-02-55]RUSLEモデルを用いた石川・富山における土砂生産量の算定と適用性の検証

*中尾 朔也1、呉 修一2 (1. 富山県立大学大学院、2. 富山県立大学)
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キーワード:

奥能登豪雨、複合災害、土砂流出計算、RUSLE、塚田川

2024年9月に発生した奥能登豪雨は、奥能登地方を中心に21水系28河川で洪水氾濫を引き起こした 。本災害は、同年1月の能登半島地震の影響を受けた複合災害であり、地震による地盤の軟弱化に伴う土砂・植生の流出や大規模な地盤変状が洪水被害を増大させたと考えられている 。本研究では、土砂・植生の流出および堆積を考慮した洪水氾濫解析の実現に向け、広域的な評価に適した経験的侵食モデルであるRUSLEモデルを用い、石川県および富山県全域を対象とした面的な土砂生産量の算定を行った 。 算定にあたっては、2024年1月から9月までの気象庁解析雨量、水文補正標高データ(30mメッシュ)、土地利用細分メッシュ、および日本土壌インベントリ(20万分の1土壌図)のデータを用い、RUSLEモデルの5因子を算定した 。モデルの妥当性を検証するため、激甚な土砂流出が発生した石川県輪島市の塚田川流域を対象に、算定結果と国土交通省による実測推定値との比較を行った 。 広域的な算定の結果、両県ともに急勾配な山間部や降雨強度の高い地域において土砂生産量が大きい傾向が確認された 。塚田川流域における9か月間の算定値は77,143 m³(流域平均侵食深 約1.12 cm)であったが、これは国土交通省による推定値(53万 m³)に対して大幅な過小評価となった 。この主な要因として、表層侵食を主対象とする経験モデルであるRUSLEでは、先行する地震による地盤の不安定化や、大規模な斜面崩壊、流木を含む流出を十分に表現できていないことが示唆された 。 本研究により、大規模地震後の複合災害下においては、既存の経験モデルのみでは土砂流出量を十分に再現できないことが明らかとなった 。今後は、降雨浸透に伴う斜面安定性の低下など、土砂の流出プロセスをより力学的に記述可能な物理モデルを用いた算定手法を導入し、土砂・植生の動態を考慮した洪水氾濫解析モデルの構築を目指す 。