講演情報

[PS-02-65]標高帯間の地下水流動による土壌水分欠損量の時空間分布形成が流出に与える影響

*小椋 崇弘1、陸 旻皎2 (1. 東京大学大学院 農学生命科学研究科 附属演習林、2. 長岡技術科学大学)
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キーワード:

土壌水分欠損量、地下水ピエゾ流動、流況曲線、変動流出寄与域

土壌水分欠損量(SMD)の概念に基づく流出モデルは,任意の時刻の地下水面位置を求めることができるとともに,流域を上流域と下流域の2つの標高帯に分割してその間の地下水ピエゾ流動量を求めることで,流域内の側方流動と土壌水分の時空間分布形成を考慮して流出計算を行うことができる.しかし,流域を3つ以上に分割したケースについて,流出の再現性評価や対応する実現象の解釈などは不十分である.本研究では,当該のモデルについて流域を3つ以上に分割する手法を確立し,流域分割数の違いによって標高帯ごとのSMDの時空間分布形成が流出生成に与える影響について検証することを目的とする.
 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林生態水文学研究所赤津研究林内の白坂本谷流域を対象とし,2014年のデータを用いて数値実験を行った.実験として,分割を行わない場合,2分割した場合,3分割した場合,5分割した場合の4つの流域分割ケースを設定した.また,流域分割線下の平均的な土層厚について,2分割した場合における評価指標TAEIFを試行錯誤的に最小化したものを基準として,3分割と5分割については基準となる土層厚をそのまますべての分割線について用いた場合と,上流域から下流域に向かって,3分割の時は基準の0.5倍と1.5倍を,5分割では基準の0.5倍,0.75倍,1.0倍,1.25倍を与えた場合のそれぞれ2つの実験ケースを設定した.
 TAEIFと流況曲線形状から実験結果を評価すると,分割を行わない場合と比較して,2分割した場合では渇水期の計算流出高,豊水期の計算流出高ともに実測流量に近づき,TAEIFも大きく改善していた.単純に流域を3分割した場合,2分割した場合よりも評価が劣るが,上流域の土層厚を薄く,下流域の土層厚を厚くした場合にTAEIFが大きく改善した.しかし,単純に流域を5分割した場合,計算流出高と実測流出高の乖離が大きくなり,全体として流出生成が不足する上,上流域の土層厚を薄く,下流域の土層厚を厚く設定した場合であってもTAEIFの改善は限定的であった.SMDに基づく流出モデルの計算において,単純に流域の分割数を増やしつつ比例的に土層厚を与えることは,3分割に対しては有効であったが,5分割に対しては有効ではなく,異なる方法を検討する必要があることが明らかとなった.