講演情報
[10]IR センサを用いた使用済内視鏡の未消毒状態を報知するシステムの開発
中山 加奈子1, 山口 優磨2, 徳永 紗楽2, 渡邊 琢朗1,2 (1.広島工業大学大学院工学系研究科生命機能工学専攻, 2.広島工業大学生命学部生体医工学科)
【目的】内視鏡検査・治療において,使用済内視鏡を別患者に再使用した医療事故が発生している.先行研究では,リードスイッチなどの磁気センサを用いた使用済内視鏡を検知するシステムを開発した.本研究では,IRセンサを用いて未消毒使用を注意喚起するシステムを開発する.【方法】システム構成は,IRセンサ(2個),IOTデバイス(以下デバイス),microSDカード(以下SD)である.光源装置とスコープハンガ(以下ハンガ)にIRセンサを設置した.本システムは,内視鏡を光源装置に接続するとデバイスのディスプレイが緑色背景になり「洗浄・消毒済」と表示される.内視鏡使用中は,青色背景に「使用中」と表示し,内視鏡を再度ハンガに吊り下げると赤色背景で点滅し,「使用済」の表示・アラーム発報する.また,SDに日時とシステム動作,内視鏡使用時間を記録する.システムの精度実験は,照明点灯・減光・消灯状態でのIRセンサの反応距離を測定する.システムの動作確認は,照明点灯下で使用済内視鏡を再度ハンガに吊り下げる不適切行動と使用済内視鏡置き場に移動させる正常行動とで実施する.さらに,システムが設定通り動作し,SDに記録できることを確認する.【結果】システム精度実験では,消灯状態で反応距離が最大であった.システムの動作確認では,各行動で「洗浄・消毒済」,「使用中」とディスプレイ表示できた.不適切行動時は赤色点滅画面に「使用済」と表示・アラーム発報し,正常行動時は光源装置から内視鏡を取り外すとシステム動作がリセットしたことを確認できた.また,SDに日時とシステム動作の記録が確認できた.システム動作時間およびSD記録時間は実時間と比較し,最大2秒の誤差が生じていた.【結論】IRセンサを用いることで,内視鏡スコープの現状態で使用済内視鏡が未消毒状態であることを周囲に報知できた.今後は,太陽光や青色照明などの環境下で動作検証をおこなう.