講演情報
[100]消化器内視鏡スコープのアングル不良に基づく保守管理の検討
廣瀬 夕紀1, 高井 希世子1, 島脇 眞尋1, 瀬島 啓史1, 倉島 直樹1, 大塚 和朗2, 久保田 英雄3 (1.東京科学大学病院 ME センター, 2.東京科学大学病院 光学医療診療部, 3.東京科学大学病院 材料部)
【はじめに】当院では臨床工学技士(CE)が内視鏡業務に介入し,消化器内視鏡スコープ(スコープ)の保守管理に従事している.消化器内視鏡検査は機器への依存度が高く,適正な管理が求められる.特にスコープは故障のリスクが高く,修理頻度も多い.【目的】スコープ修理の要因の中で最も多いアングル不良について,適正な点検間隔と修理の判断基準について検討した.【方法】2023年1月から2024年12月までのスコープ修理のうち,アングル不良による修理に至るまでの期間を調査し,最適な点検間隔を検討した.また,アングル点検基準と修理時のアングル不足の差を比較し,修理の判断基準について検討した.対象としたスコープは,OLYMPUS社製GIF-1200NR(1200N)とした.アングル測定にはOLYMPUS社提供による湾曲角度測定シートを用い,結果は平均±標準誤差で示した.【結果】1200Nの修理件数17件のうち,アングル不良は13件であった.アングル不良による次の修理までの期間は6.87±3.39 ヶ月だった.メーカ修理時のアングル不足角度差はUP:39.31±9.89°,DOWN:40±8.02°,LEFT:23.69±6.03°,RIGHT:30.77±11.58°だった.また,アングル不良による修理の原因は主にDOWNの角度不足が原因であった.【考察・結語】メーカの取扱い説明書ではアングル作動性について点検実施記載されているが,点検基準に関しては記載されていない.そのため,施設ごとに適切な点検時期を設ける必要がある.当院では,4ヶ月の点検間隔で異常が検知できると考えられた.修理の判断基準としては,アングル修理時平均角度が33.44±6.70°であることから,30°以上のアングル不足が確認された場合には修理をおこなうことが適切と考えられた.さらに,アングル不良による修理判断基準を設けることで,点検者による修理の要否判断を標準化することができると考えている.