講演情報
[101]医療DX を活用した超音波診断装置の効果的な運用
田島 志緒里1, 清水 憲彦1, 高倉 庸平2 (1.名古屋市立大学病院 診療技術部 臨床工学技術科, 2.名古屋市立大学医学部附属東部医療センター)
医療の高度化が進むなか,医療技術は急速に発展し,業務効率化や医療の質向上,コスト削減を目的とした医療DXが推進されている.病院経営には,質の高い医療提供を維持しつつ,変化する社会情勢や診療報酬制度に適応した,持続可能な運営をおこなうことが求められている.したがって,医療機器の稼働状況を可視化し,機器更新やコスト削減のため,適正な医療機器管理の必要性があった.そのような状況下において,医療機器の稼働データを定量的かつほぼ自動的に収集することができる位置情報センサを利用したGEヘルスケア・ジャパン㈱が開発したAsset Performance Managementが活用できる環境となり,各部門に設置してある超音波診断装置の稼働状況の把握が可能となった.医療機器管理に関わるデータと診療報酬データをもとに,デジタルデータを活用し医療現場の効率化や病院経営に関わる課題解決を検討することが目的である.まず,外来から病棟まで幅広く利用されている,高額な超音波診断装置に注目した.位置情報センサの発信機を超音波診断装置に装着し,各フロアに受信機を設置した.2年半のデータでは,最大1,655回移動した装置もあれば,移動回数が0回の装置も3台あった.移動が少ない装置が複数台存在したため,フロア毎の詳細に分けて分析した.Aフロアには,6台配置されており,適合度検定をおこない,使用頻度に大きな差があることがわかった.次に,フロア毎の移動回数や時間別移動回数の結果を示し,稼働状況を検証した.また,購入年月日と購入価格,移動回数による相関を検討し,経営に与える影響について考察した.デジタルデータの活用により,6台の超音波診断装置の共同利用を提案し,コスト削減を含めた病院経営に関わる課題解決の糸口を示したので報告する.