講演情報

[107]次世代医療映像システムの導入とトラブル傾向の分析

瀬島 啓史, 倉島 直樹, 高井 希世子, 田邉 隆典, 峯岸 香奈子, 平澤 幸太郎, 廣瀬 夕紀 (東京科学大学病院 ME センター)
【はじめに】標準的なIP(Interneto Protocol)ネットワークを通じて医療映像データが相互通信可能にするNUCLeUSを導入し,旧棟システムとの比較を通じ運用評価をおこなった.さらに,導入から13 ヶ月後に旧棟システムの2部屋をNUCLeUSに変更し,システムが混在する運用を開始した.そこで,トラブルの傾向や診療科ごとの利用状況を再評価し,システムの有効性と課題を検討した.【方法】NUCLeUSシステムを用いて,送信用NU-3IPT, 受信用NU-3IPR, 医療用液晶モニタ(LMD-X310MT,LMD-X510MT)および一般用モニタ(BLAVIA)を組み合わせてシステムを構築した.運用評価は2023年10月から2025年1月までの期間に実施し,臨床工学技士が対応したトラブルを抽出した.これにより,手術室,診療科,件数および内容(接続ミス,使用方法,設置不備,電源未投入,その他)について検討した.また,診療科ごとの保存媒体の変化を分析した.統計学的検討にはχ2乗検定を使用した.【結果】画像関連のトラブル対応件数は1,452件で,その内訳はNUCLeUS 関連137件であり,4ヶ月ごとに28 / 28 / 28 / 53 /件と推移した.トラブル内容の詳細(4ヶ月毎)は,接続間ミス5(1/0/2/2)件,設置不備16(4/4/2/6)件,操作トラブル68(16 / 13 / 10/ 29)件,電源未投入23(4/6/5/8)件,その他25(3/5/9/8)件であった.【考察】NUCLeUSの導入により,LANケーブルを接続するだけで多様な信号の画像連携が可能で,入出力に関係なく接続できるため,接続ミスが少なかったと考えられる.一方で,設置不備および操作トラブルが13 ヶ月目以降に有意に増加した要因として,旧棟に2部屋を増設したことが挙げられる.特に脳神経外科および整形外科など使用頻度が少なかった診療科が新たにシステムを使用したことが影響したと考えられる.【結語】NUCLeUSの導入によりIPネットワークを活用した映像転送と手術用機器の円滑な連携が可能となり医療の質の向上に寄与することが示唆された.