講演情報

[109]患者映像と生体情報および人工呼吸器波形を統合したマルチビューアシステムの開発

市山 智義, 古謝 侑奈, 福永 祐介, 西村 徳泰, 木塚 晋輔, 田中 淳, 山下 佳雄 (佐賀大学医学部附属病院 ME センター)
【はじめに】従来,遠隔モニタリングにおいて,人工呼吸器の情報は数値のみでの管理であり,情報をイメージ化することは困難であった.人工呼吸器の波形を遠隔で確認するには,その画像自体をカメラで撮影したものを使用することが一般的で,非効率かつ確実性の乏しいシステムであった.今回,数値情報のリアルタイム化と人工呼吸器の波形表示を可能とした,リアルタイム遠隔モニタリングシステム(以下リアルタイムビューア)を独自に開発した.一方,患者モニタリングは,生体情報モニタの映像が主体で,患者動作のモニタリングをおこなうには,カメラ映像など複数システムを組み合わせる必要があった.そこで,重症患者の複合的なモニタリングのために,映像情報と生命維持管理装置の動作情報を,患者毎に同時にモニタリング可能とするマルチビューアを開発し,集中治療室16床において運用を開始したので報告する.【リアルタイムビューアの概要】従来のシステムは,生命維持管理装置から出力される情報(数値情報,アラーム情報等)を,専用のデータベースサーバーへ保存すると同時に,専用端末での閲覧や電子カルテへの自動転記をおこなう.これを元に,リアルタイム化と波形表示を可能としたシステムがリアルタイムビューアである.【マルチビューアの開発】ICU16床のベッド毎に設置された生体情報モニタの映像をIP化し,映像システムにて,病室内カメラ映像と生態情報モニタ映像を病床毎に統合する.統合された映像情報と生命維持管理装置の動作情報を,病床毎に同時にモニタリング可能とするマルチビューアを開発した.【結果・考察】本システムは,遠隔であってもより正確に患者情報を得ることが可能である.多角的視点によるモニタリングはアラーム発生時において,これまで以上に迅速かつ的確な対応が可能になると考える.これにより,医療安全の強化に繋がると考える.