講演情報
[111]卓上小型高圧蒸気滅菌器における日常モニタリングでのボウィー・ディックテストの活用
早川 幸1, 太田 知歩1, 高橋 杏美1, 松尾 明子1, 伊藤 智美2, 原田 厚子2, 佐藤 繭美3, 篠原 こずえ4, 柏井 伸子5 (1.医療法人社団成扶会馬見塚デンタルクリニック, 2.いとうデンタルクリニック, 3.医療法人社団石原総合歯科医院, 4.愛媛インプラントクリニック かまくら歯科, 5.㈲ハグクリエイション)
【目的】歯科領域では真空ポンプを搭載したプレポストバキューム式滅菌器が普及し始め,コロナ禍を経てさらに多くの施設が導入したが,日常モニタリングでの適格性再確認に関しては啓発が必要な状況にある.そこで簡便に実施可能なボウィー・ディックテストのPCD(processchallenge device)を用い,卓上小型高圧蒸気滅菌器の適応性を検証した.【方法】7施設において使用されている以下の卓上小型高圧蒸気滅菌器で,gke社製PCDのENISO11140-4欧州規格パープル(以下P)とISO 11140-5米国規格ライトブルー(以下LB)を5日間使用した.使用年数と滅菌器製品名は,使用年数10年のMELAG社製バキュクレーブ31B+(以下A),使用年数1年のIHI物流産業システム社製Sterina(以下B),使用年数3年のデンツプライシロナ社製DACプロフェッショナル(以下C),使用年数5年のLIMNO社製(旧三洋テクノソリューションズ鳥取)エルクレーブBフルオート(以下D),使用年数6年の白水貿易社製Lisa(以下E,F)と使用年数5年の白水貿易社製Lisa(以下G)である.【結果】5日間におけるPおよびLBの結果は,AのPが3日合格と2日不合格でLBは5日合格,BとCとDではPもLBも5日すべて合格,EとFではPが5日不合格でLBは5日合格,GはPが4日合格と1日不合格でLBが5日合格となった.【考察】今回使用したすべての卓上小型高圧蒸気滅菌器は,3回のプレバキューム後に滅菌プロセスが開始されるにもかかわらずばらつきが出た.理由としては真空ポンプの性能が考えられ,より確実な蒸気浸透のためにはNCG(noncondensablegas)除去が不可欠であり,卓上小型高圧蒸気滅菌器の性能を考慮した適切なPCDを選択することが重要である.【結語】医療現場での日常モニタリングは,始業時におけるボウィー・ディックテストの実施やBIおよびCIで毎次確認する必要がある.患者および医療従事者双方が安全で安心できる医療体制構築のために,日常モニタリングの実施を今後も啓発していく.