講演情報

[112]高圧蒸気滅菌装置におけるCI とホロー型PCD の性能比較検討-ツール集約を目指して-

緑川 大亮1, 齋藤 勇二1, 市川 雄右1, 明石 尚樹1, 小林 貴志2, 酒向 晃弘3 (1.㈱日立製作所 日立総合病院 臨床工学科, 2.鴻池メディカル㈱, 3.㈱日立製作所 日立総合病院 外科)
【目的】当院では高圧蒸気滅菌装置(三浦工業社製RG-32FNW:3台,RK-8SHW:1台)の滅菌環境保証としてCI(フジメディカル社製)とホロー型PCD(名優社製)を併用しているが,不具合や人為的ミスが発生した際に,片方が合格していれば使用可能という判然としない管理体制になっていた.PCDへ集約化を図るため,滅菌環境調査やCI・PCDの性能評価をおこなったため報告する.【方法】PCD一括判定を計画するにあたり,まず温度分布測定をおこない滅菌バリデーションを取った.その後,無負荷で現状の滅菌条件が適正かを判定し,次いで有負荷にて滅菌時間・真空空気排除圧を其々変化させ,CI・PCDの性能比較をおこない,より早く変色不良を起こす方が検知力が高いと判断し,検証を進めた.最終的にPCD一括判定をする上での懸案事項を抽出,解決策を検討した.【結果】滅菌装置は,缶内の温度幅が3℃以内・分布幅が2℃以内となっており要求値を満たしていた.無負荷実験ではRK-8SHWにおいて真空空気排除圧の見直しを要した.有負荷実験ではいかなる条件下においてもPCDがCIよりも滅菌抵抗性があることが確認できた.またPCDの判定基準を策定し,判定誤認の抑止を図った.【考察】滅菌環境調査結果により,缶内の上下前後で環境の差はないことから,PCDでの一括判定が可能であることが示唆された.また,無負荷・有負荷試験によりPCDの有用性が確認できたと共に,真空空気排除圧が滅菌工程において重要であることが分かった.通常滅菌処理にて滅菌時間が短くなることはないが,真空工程の破綻は扉のパッキン劣化により容易に発生し得ると考えられるため,PCDは当該事象を早期に発見できる判定ツールであると考えた.但し,色調変化タイプは合否判定が不明瞭であるため,引き続き現場へ啓蒙を続ける必要がある.【結論】PCDへ集約を多角的に調査・評価をおこない,その有用性を確認したことで滅菌管理の品質を落とすことなくツールの集約化をおこなうことができた.