講演情報

[115]過酸化水素ガスプラズマ滅菌における被滅菌物の温度が滅菌工程に与える影響について

酒井 大志 (越谷市立病院 診療部中央診療部門滅菌管理室)
【背景と目的】夜間温度管理がされていない器材室等に置かれたRMDは,特に冬場の朝一番では低温である可能性がある.滅菌時に温度差による結露の発生等も懸念されることから予めメーカからは注意喚起されているが,現場で見過ごされやすいことから,過酸化水素を用いた滅菌での冷たいままの器材が滅菌工程に与える影響について検証をおこなうこととした.【方法】冬季の当院器材保管庫を想定し,表面温度が15℃以下となるように調整した整形パワーツールおよびデータロガー(ザイレム社製)を滅菌ケースに設置し不織布包装を施した.過酸化水素ガスプラズマ滅菌を実施し,滅菌工程中の包装内パワーツール表面温度,チャンバー内雰囲気温度の推移を測定した.【結果】冷たいままの器材を入れて滅菌をおこなうと,1回目の注入工程時において器材とチャンバー内雰囲気温度の間に温度差があった.プリプラズマのコンディショニング工程により器材の温度上昇が確認された.【結語】本検証により,過酸化水素ガスプラズマ滅菌器が備えるプリプラズマのコンディショニング工程には器材の加温効果があり,より安定した滅菌に繋がるものと思われるがその機能を過信することなく,被滅菌物の温度にも注意が必要であることが示唆された.