講演情報
[116]過酸化水素ガスプラズマ滅菌器の滅菌剤浸透性能の確認実験
菅田 潤 (㈱エフエスユニマネジメント 八幡事業所)
【目的】過酸化水素ガスプラズマ滅菌器(以下プラズマ)による滅菌時の,滅菌剤浸透性能を確認する.【方法】テストパック(シリンジ1から4,不織布,PCD)をプラズマで滅菌後に結果を確認する.テストパックの作成手順はア)からウ)の通り.ア)シリンジ1から4シリンジに3種類の化学的インジケータ(以下CI)を各1枚,生物学的インジケータ(以下BI)を1個挿入する.イ)不織布ステンレス製バットに再使用可能医療機器を積載し,3種類のCIを各1枚,BIを1個挿入して不織布で包装する.ウ)PCD滅菌バッグに3種類のCIを各1枚,BIを1個挿入してシールする.プラズマ滅菌工程は以下のエ)からケ)を,それぞれ3回おこなう.エ)ショートサイクル,シリンジ横置きオ)ロングサイクル,シリンジ横置きカ)ショートサイクル,シリンジ縦置き,筒先上キ)ロングサイクル,シリンジ縦置き,筒先上ク)ショートサイクル,シリンジ縦置き,筒先下ケ)ロングサイクル,シリンジ縦置き,筒先下滅菌後にCIは所定の帳票に貼付する.BIは判定後結果を同帳票に記載する.実験期間は令和6年11月5日から11月15日とする.【結果】シリンジ1から4は工程エ)からケ)でBIの培養結果が陽性を示す場合があった.ショートサイクルでは不完全な変色を呈したのは1種類のCIのみであった.ロングサイクルでは全てのテストパックに挿入したCIが完全な変色を呈した.【考察】日常モニタリングとして滅菌器メーカが推奨するテストパックの形態であるPCDと,シリンジでは結果に相違があった.これは,推奨するテストパックが,マスタ製品への滅菌剤浸透を正しくモニタリングできない可能性の現出であり,そのため各医療施設でマスタ製品を模した形態のテストパックを作成して日常モニタリングをおこなうことが滅菌保証の点で重要と考える.【結語】プラズマによる滅菌時の,滅菌剤浸透性能を確認することができた.